
先日知り合いのお招きで二期会の「魔笛」に出掛けた。
ウワサではウルトラ怪獣がステージに出てくるという事でこちらとしては
「???」という気分。
でもすごく感動するから、と言われてますます「???」で…。
実際のステージが終わっての感想:
「す、すごい!何て自然なの?」「この世界は一体なに?」
「人真似じゃない、独自の世界」「心が暖かくなったままほんわか…」
「もしかすると今年一番印象に残るステージになるかも…」
と、感激が止まらず、とても気持ちが暖かなまま帰宅した。
一週間してもこの暖かな感動が残ったままである。
普段、オペラで考える「魔笛」とは大幅に演出がクダけている。しかしクダけていても決して安っぽいのとは全く一線を画した演出。ウルトラ怪獣もたくさん登場。
実相寺昭雄氏はウルトラマン、ウルトラセブンで最も有名になった映像作家、そして監督でもあるが、実は音楽への造詣も深く、東京藝術大学の名誉教授も務めていた。実相寺演出のこの「魔笛」は人気を博しており、今回で4回目の再演。会場はファンで埋め尽くされていて熱気で一杯。
この実相寺演出の「魔笛」では普段登場するさまざまな動物がここではウルトラ怪獣に置き換えられており、みなあの着ぐるみで登場。でんぐり返しをしたり、飛び跳ねて喜んだりと、非常に表情豊かで、当初想像していた「オペラにウルトラ怪獣?」という違和感が全くない!という事に驚かされた。

動物に置き換えられて登場するウルトラ怪獣の素直さやいじらしさに非常に心が癒され暖かくなってしまい、違和感が全くなくなってしまったのは不思議ですらあったのだけれど、考えてみるに、実相寺演出の「魔笛」全体を通して貫かれる「愛」についての表現。そこに人類愛であるとか、世界中が平和であるというようなメッセージ性が色濃く表現されており、その愛そのものが本質的なコアな根っこのところがとてもクリアに表現されてくると、登場人物が見た目にウルトラ怪獣であろうと、宇宙服を着たようなパパゲーノであろうと、私たちオーディエンスもその中にある心を感じ取ろうとし始めるのがわかってきた。聴衆にウルトラ怪獣を通してでもそういう心髄を感じに行かせてしまうこの実相寺監督は、鬼才とも言える素晴らしい演出家だと驚愕してしまった次第。
そう考えてみると、日本の歴史の中でとにかく、ヨーロッパのグランドオペラを表面的にでも模倣するのに精一杯だった昭和から平成への時代を経て、日本のオペラ界が相当に成熟している、というのを感ぜざるを得なかった。時代は真似から日本独自の表現の追求へと発展し始めている。そしてそれが現在の日本の文化に影響された個性的な世界をきちんと築いている。
なんて素晴らしい事!
そしてさらに素晴らしかったのは出演者の歌唱力、演技力のレベルの高さである。
夜の女王の安井陽子の伸びやかでパワフルな音楽力、ザラストロの小鉄和広の魅力的なバス。そして今回のパミーナ増田のり子の存在力の強さ。パパゲーノの友清崇の演技力の幅広さ。主役一人が素晴らしいのではなく、隅々まで素晴らしい!というこのステージは単に音楽のレベル、というのを越えたステージ全体としての成功感が溢れていた。
聴衆に先入観を捨てさせてしまう故実相寺昭雄監督に、ひたすら感激。
素敵なステージを作って下さってありがとうございました。こんなポエムのある二期会のオペラって今まで、そうそうお目にかかれなかった!と言いたかった。
「良いステージ」という言葉が大好きである。「優秀でした」とか「正確だった」とかよりも「良いステージ」…というこの言葉に客席の一体感も生まれると思っている。
日本ではオペラ、というとどうしてもステージから客席への一方通行な感覚がある。しかしながら、この実相寺版「魔笛」は本当にステージと客席がひとつになってしまう不思議な魅力をもっている。
きっと人気の演目だから必ず第5回目がある気がしている。「えぇ?モーツァルトのオペラにウルトラ怪獣?考えられない?なんなのよぉ、それってぇ」と言わずに、先入観を持たずに次回は是非、聞きに、見に行って戴きたい気持ちでいっぱいである。
「この感動を皆さんとシェアしたい!」と思わずにはいられない素晴らしい演出のオペラ「魔笛」
オペラ公演ラインナップ「魔笛」
なんだかとても、お元気そうですね。充実した日々を送っている様で羨ましい限りです。
さて「魔笛」ですが、私はかなり以前、映画「アマデウス」の中で、その一部を聞いてから、初めて好きになったオペラが「魔笛」でした。
映画の中では、大衆劇場みたいなところで、鳥などに仮装した歌手が楽しげに歌っているのが、とても印象的で、オペラって面白しろいんだって初めて認識した次第です。その後、NHKでたまに放送されるオペラを何度か見ましたが、結局購入したCDは「魔笛」だけです。
ヴェートーヴェンの「第九」は違いますよね?
どんなオペラも日本語で聞けたら、もっと親しめるような気がしますが、難しいんでしょうか?
お寒くなりましたねぇ〜〜♡
実は私もオペラをそう多くは聞いていません。
でもやはりシンフォニーよりもずっとゴージャスなステージだな、と毎回見ていて思います。
そう、日本語でというのも必要だとは思うのですが
難しい事ですよねぇ。日本語の発声はヨーロッパの発声と違って平たいのでオペラのような作品では歌いにくく、聞こえにくい、さらに歌手がノドを壊しやすい、という難問があり、
日本語って、歌い手にとっては非常に厄介な言語なのです、
母国語なのにね。
そんな中でも團伊玖磨作曲の「夕鶴」は日本語です。
聞きやすいと思いますよ。
せつなく美しいオペラです。是非機会があったらDVDなどでも…ご覧になってみて下さい。
(声優が良くないのかな?)
字幕が出ていたので、音声を切り替えて聞いていました。
なんとなく様になってるなぁって感じるのは私だけでしょうか?
話はまったく変わりますが、今日で今年の仕事も終わり、机の上の山の様な書類を処分しています。
後で見ようと思ったり、ファイリングしようとしていた書類の塊の整理に、午前中はあっという間におわり、あと4時間くらいで終わるのか・・・・と不安に駆られています。
しかも部屋の大掃除も今日帰ってから・・・・明日の朝がゴミの最終日だったのがせめてもの救いです。今日は徹夜かぁって覚悟を決めてます。
まとまりの無いコメントですみません。
また来年遊びに来ます。良いお年を。