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2010年10月23日

♪♪「ジュビリア」with ワダシンジ ♪♪

wadashinji.jpg
10年以上前のディナーコンサートに駆けつけて下さった和田真司氏


人の縁(えにし)は本当に不思議で、どこにそういうものがあるのか予想もつかないものである。

今日は素晴らしいピアニストでビジネスマンの「和田真司氏」と彼との縁から生まれた作品「ジュビリア」をご紹介しようと思う。

14年前に慶應義塾大学の教授から講演を頼まれ日吉校舎に出掛けた事があった。頼まれた内容は自分の人生、つまりどのようにして作曲家になろうと思ったのか、とか幼少期からの環境や考え方などを話して欲しいとの事。そしてさらにミニコンサートの依頼を受けたので講演とミニコンサート、そして質疑応答、という内容だったように記憶している。

当日の教室はすり鉢状の階段教室でかなり広く、参加した学生の皆さんは音楽に趣味のある方が多かったような気がした。質疑応答は非常に活発で、前に出てきて歌を歌う女子学生がいたり、色々と具体的な質問をする学生もいたりしてこちらもなかなかエキサイティングだった。その中に、和田真司氏がいた。当時、学生だったわけである。彼は当時、慶應義塾大学の中でピアノソサエティというクラブの部長をお務めだったように聞いていた。

その時は講演後に関係者皆さんと食事&カラオケだったのだけれど和田真司さんはそこにも出席していた。その時はまさかこんなに長い付き合いになろうとはお互いに思いもしなかったのだけれど細々と、彼との付き合いが始まった。卒業すると彼はソニー株式会社に就職した。事あるごとに連絡してくる男性で、合う度にピアノへの情熱を語ってくれたし、スタジオに遊びにみえて暗譜でラヴェルのラ・ヴァルスなど、パラパラ弾いて下さった。

そして彼のご結婚が決まった時に連絡が来て婚礼で奥さまと連弾したいので新曲を、と委嘱を戴いた。その時に書いた作品が、この「ジュビリア」である。

新郎と新婦が初々しいドレスで連弾するさまは非常に印象的で今でもお二人の姿が脳裏に焼き付いている。そしてそんな華やかな席での作品の委嘱を受けた事が自分でもとても嬉しかった。今から8年前の事である。

そして彼は結婚後すぐにNY赴任になった。その間もメールの連絡は細々と続いていた。ヨーロッパばかり滞在していた自分だけれど、彼が赴任の間にNYの彼を訪ねよう、と決めておりそれは2006年に実現した。

彼のピアノは仕事の合間にも黙々と続けられており、ある時はシンガポールで一晩リサイタル開催のビデオが送られてきて驚いたのだけれど、今度はNY滞在中に国際アマチュアピアノコンクールで優勝してしまった。聞けば出社の前にレッスンを受けていたという。なんとまぁ、この情熱の熱さは冷えない御仁だなぁ…と感激してしまった。この時私はNY、NJを中心に1ヶ月ほどアメリカ滞在を楽しんだのだけれど和田家の訪問はことさらに楽しかった。

和田真司氏の完全帰国から2年が過ぎた。最近あるプライベートサロンのコンサートで何か演奏して?と友人から頼まれて、突然私はひらめいた。「そうだ!ワダシンジと連弾しよう」と。和田氏に打診してみると、スケジュールがドンピシャに合っていて即、出演の快諾を戴けたので、8年前に書いた作品を引っ張り出してきて、少し手直しをしてみた。

こんなに長く友人でいても二人でピアノを弾いた事なんかないから意外に緊張するものだと感じておかしかった。でもお稽古合わせの時間は非常に充実しており、楽しかった。サロンコンサートの出演では和田氏をお連れした事でお客様皆様から喜ばれて誇らしい気持ちだったりした。

最近とても考える。「プロとアマチュアの違いって何だろう」ワダシンジは華のあるピアニストである。でも昼間はソニーに務めているビジネスマンなのだ。でもその音楽性、そしてソリストとしての天性の音色の華やかさを彼は持っている。こちらはドン臭く、不器用にずっと音楽をやってきて一応プロとして名乗っているのだけれど、こういうワダシンジのような御仁に出会うと自分が時々鈍い動物に思えてきてしまう。天は二物を与えずって、与えてるぢゃん、この人にはさぁ〜!TOEICだって950点とか!なんでなんでも出来るのよぉ〜!と、思いたくもなる。でもよく見ていると和田真司氏の音楽に対するその真摯な姿勢は見事なまでに徹底されており、その生活はストイックであり、プロが逆に見習うべき所が満載である。限りある時間をビジネスと音楽に振り分けて、キチンと練習を積み重ね、年に演奏の発表も続けているわけで、その集中力には頭が下がる。

彼は私のファンだと言って下さるが、私は逆に彼をまぶしいと思っている。アメリカの作曲家でチャールズ・アイヴズがいるが、ワダシンジを見ていると私はアイヴズを思い出す。彼は平日は保険会社の副社長だったわけで。休日に作曲家だったのだから。

以前、素敵なアーティスト(演奏家)に触発されると自分はインスピレーションを刺激されると書いた事があるが、ワダシンジは常に私をつついてくるそういう友人になってきてしまっている。

14年前に慶應義塾の講演の階段教室の中にいた学生だった和田真司氏。彼が講演会の後帰らずに関係者の食事に参加して下さった事に感謝したい。そして今後、彼の為に私はジュビリア2を書きたいな、と思っている。そしていつか皆さんの前でワダシンジとの連弾でお披露目が出来たなら、などと考えたりしているのである。


自宅スタジオでのリハーサルの様子を録音した音源をYouTubeにアップしてみたのでお聞き戴きたい。

演奏:1st 和田真司 2nd 鍋島佳緒里

次回は和田真司氏の翻訳された音楽書籍をご紹介したいと思っている。
posted by カオリン at 21:51| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 鍋島佳緒里作品の演奏会&etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
かおりん
ご活躍何より。
オランダ語を始めたり、デンマーク語に
チャレンジしようというのは、素晴らしい。
どちらの国も、とても自由だしね。今日は、
ちょっと才能のある絵描きさんの個展案内です。
かおりんの作曲とは、異なる所が多いけれど、似ている所もあると思います。よろしかったらお出かけ下さい。以下コピペですが、詳細です。

昨日(18日)から、23日(土)迄
知り合いの絵描きさんが、銀座4−4−5
ギャラリー・オカベ(03‐3561‐1740)
で個展をやっています。
4丁目交差点から5町目方向、和光を過ぎて
直ぐの道を右折、ちょっと歩くと左側です。
11時から18時半開廊(最終日は、17時迄)
作家名は木下 美香さん。彼女のブログは、
こちらです。http://blog.goo.ne.jp/anmitsu222cat
気に入って、時間が取れたら、見に行って
やって下さい。
 自分は、最近、演劇批評などもやっていて、
Rue89japonをググって頂くと、cultureのコーナーで、ご覧いただけます。間違いを訂正してくれないのでもめて、今、書かれている原稿が、ここでは、最終稿になりそうですが。
          元気で、また連絡します。

                 むっしゅ
Posted by むっしゅ at 2011年07月19日 03:42
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