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2008年02月29日

ヨーロッパ製アップライトピアノが欲しい!

bech

部屋の大改造はずっと続いており、今も運び出してもらう家具に埋もれて暮らしているので非常に不便。

早く部屋がすっきりしないと次の作業に進めない…
その作業とは防音施工とアップライトピアノの購入。

音大を卒業してある程度演奏のキャリアを積んだ頃から私のピアノを弾く環境は非常に恵まれていて、一時期はグランドピアノ4台を持っていた。すべてヤマハ製。C7,G5,C3,A1とそれぞれを弾いていたのでYAMAHAのピアノの個性は大体把握しているつもり。
最近までは2台のグランドピアノを弾いていたが昨年、私がアトリエとして借りていたビルが建て直しになり立ち退くこととなり、その際に一台を手放し、今は小型のグランドピアノだけが実家にある、という状態になった。
今ではアトリエは実家に移し、そこで内弟子のレッスン、ステージのためのピアノ練習などをしている。

で、入谷の今の自宅にはなんと、ピアノがない!理由は簡単。2LDKと狭いから、書斎とデジタルピアノでいっぱいになっちゃうわけ。それにそう、2キロちょっと離れた実家に毎日練習に行けば事足りるし。と思っていたからね。

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さて、この5年ぐらいの間であるサロンに仕事で行くことがだいぶあり、そこにあるスタインウェイのアップライトピアノを弾く事が増えた。これが私のアップライトピアノに対する感覚を変えてしまった。

ハンマーの機構はもちろん寝ているものを立てる、というアップライトの仕組みは変わらないから連打などはやはりアップライトなのだけれど鍵盤が下から上まで上がる間に見せる、その表情の豊かさは弾き手に十分すぎるほど応えてくれるのである。

プロフェッショナルなピアニストは鍵盤の中で20種類のタッチを持つ。と言われるというのをだいぶ以前に聞いた。それぐらいのタッチを持っていたとしても、ピアニストは自分の楽器を持ち歩けないので、ステージで演奏する際には、その会場のピアノと即座に仲良しにならねばならないミッションがある。

サントリーホールなどで、かっこイイピアニストはリハーサルをあまりしないが、私などは、メジャーなホールだというのに開場ぎりぎりまで練習し続けてしまう。いつも調律師の方をお待たせしてしまうので申し訳ないな、とは思いながらもやはり確認事項がたくさんあるからそこは譲れない。
各ホールには必ず個性というか癖がある。やはりその音場での鍵盤の打鍵した際の響きの種類、残響などを把握することと、そのタッチと自分の指のコントロールの感覚を本番前に指と体に覚えこませるためである。

ホールによっては自分の思っているFFが違う響きだったり、中音域だけが響いてしまうホール、低音の響きで高音域の音のキレを邪魔するホール、など色々ある。メジャーなホールは当たり前のようにスタインウェイのフルコンが置いてあるが、入れ物が違えば響きは全く違ってしまうわけで、その環境下においても同じコンディションを作り出せなければ演奏家としては落第なのだから、ピアニストというのはそういうストレスはすごいものであると思う。私みたいな伴奏ピアニストでもそれは同じ。さらにソリストとの音響バランスに常に注意を払うからさらにそういう神経はピリピリするものである。

さて、アップライトピアノの話に戻って…ピアノは絶対グランド。と信じて疑わなかった私がヨーロッパ製のアップライトピアノを弾いて魅惑されてしまったわけだけれど、その際に「こういう楽器なら自宅での練習に揃えてみたいなぁ」と思うようになった。

その思いは日に日に強くなってきている。日本人の音大受験生や音大生のピアノの練習の仕方を聴いていると「リズム100回」とか回数を弾くと安心しているみたいで、それは練習のための練習だよねぇ、と感じる。耳を使って練習をすれば自分のどこが機能していないのか即座にわかり、指の癖も早くに直ってしまうのに…

若い頃、どうしてもオーケストラとピアノコンチェルトを弾かねばならぬ仕事が何度もあり、ブゾーニのコンクールで4位を取ったピアニストに数年師事していたのだけれど、その彼が仰った言葉で、「最初の音を出す時から汚い音、無神経な音は出さないように」というのが忘れられない。

その事を考えていくと、色彩感の薄いピアノで日々弾いていると演奏も音楽も色彩感を表現できないのは当然、と思える。楽器の演奏って楽器との対話だから、「こちらがこう!」と表現したら「それではこんなではどう?」と帰ってこないと対話にならない。
さらにある理想の音を頭に描いて弾いていると、ひどく調律が狂っているピアノだったりしても魅力的に聞こえたりするもので、自分のイマジネーションさえ豊かであれば表現は痩せない、という事が実際にある。だからこそ表情豊かな楽器で良い理想を養っておく事は大切。
残念ながら日本製のアップライトはグランドピアノとは完全にレベルを違えて作っている感がぬぐえない。音色が単一。

逆に日本製のグランドピアノはレベルが高いと思う。されど小さなグランドピアノでは連打の練習などには最適だけれど音色の研究という部分ではどうしても無理がある。(価格的に当たり前だけれど)
とはいえ、グランドピアノは絶対に演奏家には必要な道具。本当は自宅にヨーロッパ製のグランドピアノがあれば鬼に金棒だけれど、それがままならないのなら…やはり自宅の狭いマンションにはヨーロッパ製のアップライトピアノじゃないかなぁ…。
で、総合練習は今まで通り実家にあるグランドピアノ、かな。

しかしそれにしても、日本製のグランドピアノよりもヨーロッパ製のアップライトピアノの方が何倍もしたりするからびっくり。今狙っている種類のアップライトピアノで実家のグランドピアノが4台買えちゃうんだもの!

これから春に向けて試弾の日々が続きそう♪
画像はべヒシュタインのアップライトピアノ。
posted by カオリン at 12:01| 東京 ☀| Comment(8) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
数年前、小学1年生のはじめたばかりの子供に、スタインウエーのアップライトを購入した方がいらっしゃり、びっくりしたことがあります。かなりのお値段だと聞きました。
そんなに違うんだ、日本の物と。
ヤマハも200万するアップライト出しましたが、どんなんでしょうね。
やはり200万だけのことはある、といいのですが。
Posted by masshy85 at 2008年03月02日 23:02
>masshyさん、
実はね、その210万円のヤマハのアップライト、試弾してきてガッカリしちゃったんです。音が開いちゃってて響きの色彩が少ないです。まして、楽器を選べない!工場から勝手に送られてきちゃうんですよ。びっくり!!!
それの倍近く、あるいはあと100万円足すと全然違った豊かな響板のピアノが手に入る…もちろん弾いた楽器が家にお嫁入りに来ます。まして日本のピアノは時がたつと価格が下がりますが、ヨーロッパのピアノは100年もつ事を念頭に作っているので価格があまり下がりません。
それで…10年ローンもある事だし、昔ドイツ車やフランス車ばかり乗っていたことを思えばそれよりも長持ちするし…と、思い始めたんです。
同居人の家は中学生の時から子供一人に一台グランドピアノを買い与えてました。やはりそういう家の子供は耳がいいですね。無意識に。
免税を待って大学に入ったら買う、という一般のご両親の子供にはない豊かさを子供が持っている気がします。
良い音を最初に刷り込むと、汚い音を避けるようになるんですよね。それってすっごい教育だと思いますよ。
そのスタインウェイを購入した親御さんの意識を素晴らしいと思います。
Posted by カオリン at 2008年03月03日 12:00
最近つくづく感じていた所です。
ずっとクラビノーバで練習していた子供が、ピアノに買い替えたら気構えが変わってきたこと。
それと最初からピアノで練習している子の違いとか。
エレクトーンも最新の物を持っている子は自然と音色によりタッチを変えていることを。
理屈じゃない自然と体に染み込むものは分かってもらいにくいですね。
安い物ではないだけにね。
ヤマハの210万だめでしたか!
それに選べない!困った会社だこと。
Posted by masshy85 at 2008年03月03日 14:08
ヤマハの悪口は趣味ではないのでもう少し詳細を書くと、ヤマハのショップの方がおっしゃるにはそのピアノが置いてあるお店の乾燥度がひどかったというのと、たくさんのお客さんが弾いていてピアノの疲労度も高かった、というのが原因だと事のようです。
確かに、音が開いちゃっていたのはそういう事かもしれませんね。ただ、楽器が選べずに工場から直送されてきちゃうのは、さすがに考えますよねぇ。グランドピアノよりも高額なのだし…
Posted by カオリン at 2008年03月04日 21:30
うちにあるのは同居人の持ち込んだDiapason Royal.

和製ベヒシュタイン(笑)といわれていますが、そろそろ寿命か。
Posted by Jun Yamamoto at 2008年03月04日 23:33
>Junさん、
おぉ、響板をドイツから入れていて手作りのピアノですよね。そういう楽器を使われているときっと音楽への慈しみってすごく深くなっていくのでしょうね。あぁ、私も各社の楽器の試弾していくのが楽しみになってきました。
Posted by カオリン at 2008年03月05日 10:41
こんにちは
デザイナーのotoshimonoです。
本日ホカゾノ&シモノ&大フィルのCD、デザインが目出たく完了し、印刷所入れしました。
出来上がってくるのがホント楽しみです。
Posted by otoshimono at 2008年03月05日 23:03
>otoshimonoさん、
わぁ、ドキドキです!
otoshimonoさんのデザイン、また拝見できるんですね。
今回のCDは超絶技巧からおしゃれなジャズスタイルまで、ユーフォニアムとオーケストラの奥の深さと相性の良さが引き出されているだけに吹奏楽マニアだけでなくても一般の方に自然に味わえる良いCDだなぁ、と思っています。
昨年のレコーディングの際のマエストロ下野の熱い熱い音楽への真摯な姿勢とカリスマティックな指揮が思い出されます。
Posted by カオリン at 2008年03月07日 19:56
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