
ずっと続いた音大受験生のレッスンもひと段落し、ここ一か月に及ぶ大型家具数個の処分、それに伴う大掃除、防音マットの設置、防音カーペットの設置、二重サッシの内窓の見積もりなど作業は順々と進む中、先日はじめての試弾に出かけた。
山野楽器銀座店6階。
ここには常時ヨーロッパ製のピアノが数台あり、試弾させてもらえる。
まずはスタインウェイ☆
私がいつも仕事先で弾いているスタインウェイのアップライトよりももっと豪華な仕上がりのピアノだったけれど弾いてみると音にムラがあり、なかなか扱いにくかった。
という事はあの高輪のサロンのあのスタインウェイは大当たりのピアノだったのだなぁ…と再確認。それにしてもスタインウェイのアップライトは中低音域がよく響く。価格は500万円を超えていたかな。
そしてベーゼンドルファー☆
価格が500万円に近いので最初から自分が買うべき楽器ではない、と思っていたのと、以前ステージでベーゼンドルファーを弾いたことがあったがそれほど魅力的と思わなかった事、などであまり期待なく椅子に座った。
弾き出してみると驚いた…なんていうピアノ…
まさに自分の意のままになるピアノ。であった。ベートーヴェンの後期の作品などにあっていそう、と思ったけれど、モーツァルトやハイドンなどのドライな音での演奏も素晴らしく表現でき、ショパンのような甘い音はドンピシャのバランスで出てくる。さらにガーシュインなどのジャズの作品も品の良いノリで聞こえて遜色なし。
面白いもので音色が明るくも暗くも軽くも重くも、弾き方次第。という楽器。ずうっと弾いていたくなる、素晴らしい楽器。
売り場の方がグランドも弾いて下さいとおっしゃってベーゼンのグランドピアノも弾いてみた。こちらは家庭用の大きさ。
どっしりと、しっとりとした音色。そして中音域から上はまろやかに軽い。やはり1つの鍵盤が上がってくる間にたくさんの音色を含んでいて、それをできれば表現し分けたい、と弾き手に思わせる素晴らしいグランドピアノだった。こちらは1000万円弱。
山野楽器の売り場の方のお人柄の素敵なこともありで、私は売り場を離れたくなくなって来てしまうほど、それぞれのピアノの音色の豊かさにほれぼれとしてしまった時間だった。
もちろん価格を考えると現実に引き戻されるのだけれど帰り道、反省のし通し。
若いころからカーマニアだったので、最近まで車はずうっと欧州車で、VWシロッコ、VWジェッタ、半年で同じくVWジェッタ本革シート仕様車に乗り換え、その後にフランス車に変えてルノーに乗ってきた。当時はテレビや録音の仕事が多く、帰りが深夜や明け方になるので柏に住んでいた私には車は絶対だった。その頃の夢は最終はイタリアのランチアに乗る、という事だったが、東京に住居が戻ってきてここ、入谷は地下鉄出口わきに自宅マンションがあるために全く乗らなくなり、ちょうどそのころ父の自宅の駐車場が狭くなる、という事情もあったので私のルノーは父の日産のばかでかいワゴン車と取り替えてあげた。そのワゴン車も今ではある駐車場に預け通し。
今は全く運転せず、もっぱら同居人の車でのお迎えに頼る日々と変化してしまったが…そう、銀座からの帰り道、確かに車に凝っていた時期も楽しかったけれど、それだけ贅沢したら500万円のアップライトなんか苦もなく手に入ったのに…という反省をしていた。私ったら音楽のプロなのに何してたのかなぁ…という、そういう反省。もちろんその当時は普通のグランドピアノがあったからそういう事に気が回らなかった、というのもありだけれど、それでも今回のこのヨーロッパ製のアップライトピアノの音色の深さは一言では言い表せない、豊穣なる響き。なわけで…
外で車乗り回して高速道路でBMWのALPINAなんかと競って追いかけっこしていた自分が本当に哀れに思えてきた。
本職の音楽にしても、生活に必要な英語にしても…私って気付くのが大体10年遅いんだわねぇ…つくづく。溜息ついてばかりもいられないので今の想いの丈をやはり実現すべく、行動あるのみ。かな。
ここ、山野楽器にはべヒシュタインがちょうど売れてしまった直後で置いてなかったので、今度は違うお店に試弾に行ってべヒシュタインを弾いてみよう、と思う週末。
今後の試弾レポートを是非お楽しみに。画像はベーゼンドルファーのアップライト。蓋を開けた正面右にあの、美しい金文字のBosendorferの文字がまぶしい。
山野楽器本店6階ピアノフロア


