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5日間のお天気は?

2008年11月07日

ヴァイオリニスト、レイ・イワズミの来日までもうすぐ!

rayfront rayback
レイ・イワズミの11/12、オペラシティの演奏会情報



私がヨーロッパ滞在で得た事や友人は限りないけれどその中でもとりわけ、NY在住ヴァイオリニスト、レイ・イワズミ氏に出会ったことは何よりも素晴らしい事と感じてる!

彼はベルギーでは数少ないヴァイオリニストで作曲家のウジューヌ・イザイの研究の為に、ベルギー王立音楽院にNYジュリアード卒業後に留学してきたヴァイオリニスト。

言ってみれば欧米の架け橋になっているようなヴァイオリニスト。
レイ・イワズミのそのイザイに関する論文はあまりに素晴らしいということで、ジュリアードで修士号取得の折りにその論文でも受賞している。

もちろん彼の演奏はすごく情熱的で日系は知りながらやはり欧米人のハートだなぁと感じ、血の違いを感じるほど素晴らしい演奏。

日本ではイザイはあまり有名になっていないが、アメリカではその深く渋いヴィルトゥオーゾの表現に熱狂するファンがたくさんいるのを、アメリカ滞在したおりに、知った。

今回の来日の目玉はやはり「イザイの無伴奏ソナタ・全曲」というもの
これ、生で全曲聴ける機会って多分ほとんどないのではないか…と思う。

彼とは一目会った日から意気投合してとっても仲良しになってしまったし、互いの家を行き来する間柄になったけれど、彼のその音楽は友人とは思ったことがないほど、高みにあるアーティスト。
Ray Iwasumi公式サイトで演奏も彼の名演が試聴できます。
♪click! here♪(ネット試聴でもその音色に鳥肌が立つワタシ)


この機会に是非、イザイを研究し続け、演奏し続けてきたレイ・イワズミの奏でるそのイザイの作品を聞いていただきたいと思う次第。

当日は私も会場に居ります。見かけたら是非お声掛け下さい。

11月12日(水)19:00 全自由席:4.000円
チケットお申し込み デュオ・ジャパン 03-5428-0571
オペラシティ・チケットセンター 03-5353-9999
posted by カオリン at 14:06| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月21日

サロネンがやって来る!

salonen.jpg エサ=ペッカ・サロネン(c)KASSKARA/DG

今年のサントリー・サマーフェスティバルで、好みではない作品をひとつ、聞いてしまって以来、私のフラストレーションはかなり極限に達していた。

音楽を職業にする事はやはりそれなりの耳を育てる事とも思うけれど、時にはその耳が災いし、音楽を聞くことによって受ける影響も大きい。私は自分の作品の構想を練るときに、自分のエネルギーを悪く奪う作品にとっても敏感、というか注意している。それを聞いたがために、数日間、五線紙に向かえなくなる事は恐ろしい事だから。

そしてまた、そういう悪影響を及ぼす作品の力の方が力が圧倒的に大きいように私には感ぜられるので。(もちろんここには好み=嗜好性もかなり含まれるので発言にも要注意なのだ)なので、演奏途中であっても自分の耳と心を守るために退席してしまうことは少なくない。
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今年の夏がそうだった。ある一曲、それも演奏会最後の大作…聞いた途端、「こりゃダメだ、席を立とう!」と思ったのについ、座席が入り組んでいて帰りそびれ、なんと体が拒否し続ける曲を20分以上も聞いてしまったのである…

本当にダメになっちゃったその後の数日間。インスピレーションゼロ!になった。で、通して買っておいたチケットもお弟子に譲り、家で黙々と過ごしたっけ。傷が癒えるのにかなり時間を要した、と言うことになる。やれやれ…

業界仲間はやはり同じ感想で…「あれ、誰が選んだの?」という話題で変に盛り上がった。最近の現代作品は音楽学系やコンクール審査の作曲家や、とにかく学者が選ぶ。ここが非常に危険な気がする。クラシック音楽の発達して来た経緯は、演奏家が作曲家の作品を持ち歩き、演奏し歩いて広め、定着したのであり、決して学者が紹介してきたのではない。やはり「演奏会」というコンセプトと「コンクール」というコンセプトは別物でなければいけないと思う。
コンクールなら「よく書けている作品ですけどね」と言う作品が出てきても当然であろうが、演奏会に「良く書けてるんだけどね〜…」という作品は挙げるべきではないのは当然であろう。もとから演奏会は興行の一種なのだし…やはり学者だけではなく、演奏家出身、や、あらゆる意味でのプロデューサー、などの開かれた有識者で選ばれるべきプログラムが今後は求められるのは必須と思うのになぁ…

昨今の現代音楽の演奏会が集客不能なのはそういうベースがあるからだと、本当に思い続けている。
聞く立場に立った人のチョイスではないから。世の中の人々が全てコンクールスタイルの曲が好きなわけではない。芸術作品はすべてが厳しくなくたってよいんじゃあないの?(皆、無言になるんだよねぇ…なぜ?)
全てがシリアスで突き詰めて、隙がなくて、というものを並べた演奏会はやはり単調でしょー。そこにはバラエティとバランス、というものがあってしかるべき。と思っている。

私はステージの上から先生風を吹かせるアーティストをアーティストとは思っていない。アーティストはアーティスト。教授であることなどはオーディエンスには関係のないこと。でも日本のクラシックの演奏会では先生根性が抜けないままステージから教えようとする演奏家もいらっしゃらなくはない。もちろん、好きな物だけ並べて演奏するプログラミングにコンセプトのない、プロと名乗りながらもセミプロ的な演奏家も困る…としても、現代音楽が特殊な学習をした人たちだけに聞いてもらえばいい、という偏狭な企画で作り上げられてしまいがちなそういうカラーはとても悲しい。

ヨーロッパではコンテンポラリーの演奏会に、街の普通の人々がやってくる。老夫婦なども多いので驚くのだけれど。それでいてちゃんと音楽の雰囲気から実はその音楽の核は理解しちゃっている。学習したからわかる、というのとは違う。もちろん、ヨーロッパの音楽業界にだってウラもオモテもあり、政治的に上手に動かないといけない、という事情だって知らなくはない。でもやはり音楽人口が豊かなのよね、基本的に。それは教会があり、常にそういう生の音楽環境があるからでもあるから歴史がそもそも違うけど。

さて、また戻るけど、プログラムを決める際に有名な作曲家の人気の出た曲=ポピュラー=権威において云々…となるのは本当に馬鹿げている。それはクラシック音楽の歴史をも否定してしまうような行動に思えたりする。これでは、いつまでたってもマニアックに知識を持った人しか聴衆になれない、ってことになってしまう。音楽は感性でも理解ができるものなのに…日本の一般人の音楽レベルはいつまでも上がらない…
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おおおぉっと…何だか激してしまった…けど何を言いたいのかって?

うん、世界中のどこぞで受賞した優秀な作品なのに全然聞いていてつまんない曲よりは聞いていて心臓が揺さぶられ、鳥肌がたつ作品を聞きたいな、というそれだけなのね。オーディエンスとして。デス。

その欲求不満を解決すべく購入したのが、上の画像のサロネンの演奏会のチケット。大奮発してS席をゲット。驚いたことにかなり前に予約したのにS席はかなり少なくなっていた。

サロネンがわがNHK交響楽団を指揮した演奏会を聞いたことがある。素晴らしかった…オーケストラ団員のみなさんがサロネンにうっとりついていくのがわかるのである。N響団員のうるさ方を魅了してしまうその指揮はやはりサロネンの音楽性が魅力的であることに他ならない、とその時感じた。それと、北欧が生んだ天才と言われるそのサロネンの音楽には透明感と、金管楽器の響きを豊かに引き出す彼ならではのカラーがあった。

やはり本物を聞いてないと、自分の物差しが狂ってきそうな今日。しっかりしなくちゃ…


★★エサ=ペッカ・サロネン&ロサンゼルス・フィルの来日情報★★

★★エサ=ペッカ・サロネン★★
posted by カオリン at 13:24| 東京 🌁| Comment(12) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月02日

新たな委嘱は大好きな楽器で!

 神代修/サン=サーンス:七重奏曲

ヒルトン東京ベイから依頼の音楽制作も正式に完了。ちょうどその仕事が佳境にある頃、今回の委嘱の打診があったっけ…

その後一ヶ月以上ご連絡ないから延期になったか企画自体が変わったのかな?と思いきや…正式連絡が先月末にあり、レコーディングのための新曲委嘱決定!

今回はトランペット奏者の神代修(くましろおさむ)さん。
編成はトランペット+ピアノ+マリンバ&パーカッション。ピアノ以外はまるで私の得意な楽器を並べたような編成。実は私、ピアノを書くのは得意とは思っていないから…。(そう言うと仲間はみんなびっくりするんだけど)最も器用で最も平凡になりやすい、ピッチの変えられないピアノはいつも私を困らせる楽器。

それはそうと締め切りがねぇ…かなり短め。10月最初!!!!それって本当かなぁ…いや、本当。もう決定。

単純に割り算すると…一日20秒ぐらいは書いていかないと間に合わない感じ。だというのに9月1日、本日やったこと。
1.部屋の掃除。
2.特にトイレを徹底的に掃除ね。
3.出さねばならない手紙を書いて…
4.溜まっていた英語の宿題をして…

とかやってたら終わっちゃったよ〜〜ん!本日はノルマ達成できず。今日の予定の20秒は明日に加算されるはず。。。。(私はおばかか?)

大体ね、コンテンポラリーな作品に取り組み始めるときは第一日目と二日目は必ず掃除。そして創作の時間は明け方にシフトしてくる。朝4時起床の生活にだんだんなる。

今回さわいでるようで結構平常心でいるのは何故か…うん、結構インスピレーション来ていて、設計図もかなり書き込んでいるからなんだなぁ…編成を聞いた途端に、わさわさわさってイメージが浮かんできてしょっちゅうノートに書き込んできている。このところコンテンポラリーの作曲は一年ほどしていない。これが多分充電期間になっているからなんだと思うし、それと今回好きだったり書き慣れていたりの楽器ばかりだから、という期待もあったりで…「書ける!」という予感がするんだなぁ…耳の中で、頭の中ですでにいっぱいアイディアが鳴っているほど、今回は何だか想像力が饒舌。

いや、いつだって書いてきたわけだけれど…私はいつも委嘱が来た際に締め切りの日時の通知を受けた途端に胃が痛くなって「本当に私に書けるのかしら…」という自問自答をし始めるのが常、という情けない作曲家である。そのくせ、関係者の間では締め切りを踏み倒さないで有名でもある。「カオリンにだけは締め切りサバ読まないでいいの。本当の締め切り言っても大丈夫なひとだから。」と言われたこともある。嬉しいな。
結局最初の不安を吹き飛ばして黙々と書く体制に入っていくワケよね。さて、掃除も徹底的にして、気持ちの準備も整えて…明日こそは…


神代修さんからお送りいただいたCDを毎日聞いている。輝かしいキャリアは当然なのだけれど、氏の音楽って…すっごく清潔な香りが漂っている。音の美しさ、シャープなバランス感、切れの良さ、神代さんの演奏から受けるイメージ、そういうところからどういう音楽にしていこうか、と想像はたくさんふくらむ。そこから今度は引き算していって曲を書き始めるのだけれど…こういう素敵な方から委嘱を戴いたこと、心から嬉しく思う。18歳の時から日本のトランペット奏者の重鎮、戸部豊氏の伴奏をし、現読売日本交響楽団の主席の田島勤さんが学生の頃から伴奏もして、卒業後からはトランペットのアレンジ譜面の出版にも何冊も携わったし、演奏用にも編曲をしてきた。そしてコンテンポラリーでは曽我部清典さんからもたくさん学ばせていただいた。トランペットは私の音楽生活のバイブルという気がしている。だからこそ良い曲、書きたいなぁ。

神代修さんのオフィシャルサイト


posted by カオリン at 00:51| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月09日

ヒルトン東京ベイの20周年の記念企画に参画決定♪

hiltonTbay ベイサイドの中でもひときわスケールの大きなホテル

昨日からここ舞浜にあるホテル、ヒルトン東京ベイに一泊滞在している。今回は仕事での滞在。ヒルトン東京ベイは今年20周年。

で,客室を大幅にリニューアルし、ファミリーで楽しめる、オリジナルの創作童話をベースにしたハッピーマジックという客室で宿泊営業展開をスタートさせた。とても人気で好評らしい。実は2ヶ月ほど前からこの企画に参画する音楽環境的な相談役の候補に私が推薦されており、やっと先週話し合いもまとまりつつあり、まずはそのハッピーマジックの客室に試泊する事となったのである。

滞在報告詳細は帰宅してから。

買ったばかりのSONYのPDA、Myloでの初めての入力なので何だか要領を得ないけれど、まずは近況報告という事で♪
posted by カオリン at 10:03| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月26日

「さくらさくらとイースター」in KAWAI サロンパウゼ

032602 第二部の様子(表参道KAWAI サロンパウゼ)

藤井多恵子氏が企画した「介護する人される人のために」というコンサートが無事終了。

今回は年齢制限があったらしく、65歳以下の方はお断り。というのが建前だったようだけれど盛会であっという間にチケット売り切れで演奏会前にも10人ほどお断りせざるを得なかったコンサート。

表参道KAWAIのコンサートサロンパウゼは改装のためにずうっとクローズしていたので改装されてから訪れるのは初めて。一人早く会場入りし、すぐにピアノに座る。

以前とは本当にリニューアルされてしまって昔の会場が思い出せないほどとてもしゃれた会場になっている。色も木目が美しくシックな感じ。

Shigeru KAWAI と書いてあるグランドピアノ。このフルネームが刻まれたピアノはKAWAIご自慢のピアノでKAWAIの技術の粋を集めて作られている。特に本日のピアノは多分、フルコンサートサイズ。SK-EXというシリーズだと思う。

さて、会場は120名収容のキャパシティで…やはり予想通り、楽器が会場に比して大きすぎる…何が言いたいかというと、ソロコンサートやピアノのコンサートには良いけれど、アカンパニャスト(伴奏者)泣かせのピアノだなぁ…ととっさに思う。

こりゃ大変だ…すぐに音の調整始めないと…とにかく、何でも弾いてみる。弾いていると、本当に素晴らしいピアノ。ソロとかは本当に気分がよく弾けるなぁ…楽器の大きさと会場が合わない場所に、神楽坂の音友ホールがあるのを思い出した。あそこはやはり200人ぐらい収容のホールになんと、ベーゼンドルファーのフルコン、インペリアルがどぉ〜〜んと置いてあって、あれはソリストでも音が乱反射して耳が大変だろうなぁ、と行くたびに思うのだけれど。

本番までに何とかコントロールできるようにせねば…このSHIGERU KAWAIのフルコン。とにかく響板が鳴りたくて鳴りたくて仕方ない、といった楽器で、特に中音から下の部分が唸るように鳴りあがってくるという特徴があった。

鳴りたいピアノを鳴らしてあげられないのはかわいそうではあるけれど…本日は絶対に興奮してはいけない!っと自分を強く戒めて…(歌手に合わせて興奮して来ると音量も上がっちゃうのよね、人間だから、ついオーバーアクションになってきちゃうわけナノデス、はい。)

まして今日の曲目はいつもの高音の曲よりも、低音で胸の声の発声でささやくような曲がかなり多く入っている…となると…ピアノの蓋は最小限、小指ぐらいの高さに開けて、あとはすべてソフトペダルで調節していくしかないなぁ…

そうしている間にプリマ、マダム藤井登場。数曲合わせてあとはまた一人の練習に会場に残った。マチネ(昼〜午後)のコンサートは特にリハーサルの時間が短いのでこちらはとにかく必死でピアノの鍵盤と仲良くならないと…


032601 音にむらが出ないよう演奏時の姿勢にはいつも気をつけているつもり…

本番になると会場のお客様でかなり音が吸われるので音響効果がまたさらに変わる。新しくリニューアルしたKAWAIのコンサートサロン「パウゼ」はお客様が入ると、かなり音のコントロールがしやすくなった。

演奏会は無事終了。お客様の盛り上がりがすごくてこちらも楽しんだ。高齢化の時代、元気な高齢者が急増しているのにそういう方たちには楽しむ場所が少なかったりするようで、こういう本格的なコンサートで、しかも身近な曲なども織り交ぜての…という企画はなかなかクラシックでは探せない。

今後もこういうシリーズやってね!という声がたくさんのコンサートだった…ご来場くださった皆様に本日も感謝。
posted by カオリン at 23:59| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月13日

発売前に完売したコンサートのお知らせ

easter さくらさくらとイースター

大分前に完売してしまい、宣伝も何もできないままで、それも悲しいのでお知らせだけを。

藤井多恵子コンサート〈さくらさくらとイースター〉
3月26日(水)13:30開場、14:00開演。
表参道にあるカワイのサロン「パウゼ」で。

今回は年配の方やハンディキャップのある方もどうぞいらしてね、というコンサートで肩のこらないプログラム。

クラシックからポップス、ジャスのスタンダード、演歌まで藤井多恵子さんが歌っちゃう!というもので噂が先行してあっという間に完売!高齢の方は夜の外出が苦手だそうで、このマチネ、というのも魅力的だったみたい。最近の藤井多恵子コンサートはそういう普段なかなか出てこられない!とおっしゃる皆さまを対象に時々こういうサロンコンサートを企画している。

今回の企画で面白いのは第二部の昭和の文部省唱歌。和声(コード)の進行が非常に個性的で不思議な音がする…昭和の音楽って考えるに独特の音色と和音進行を持っているのだったなぁって、改めて考えさせられているところ。

伴奏合わせにも楽しく通う日々の中、例のヨーロッパ製アップライトピアノの試弾もぽつぽつとしているので、そろそろ試弾!第二弾の感想もアップしてみようかな…
posted by カオリン at 20:32| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月21日

今年オススメのX'mas Music♪ティル・ブレナーで


ティル・ブレナー「ザ・クリスマスアルバム」


ホノルルで高熱にやられなければ、もっと早く皆さまにご紹介できたのだけれど、今年のクリスマス・ミュージックはもう決まってる?
私はなんと言っても今年はティル・ブレナーのクリスマスアルバムで決まり!昨年は「Il DIVO」だった。それは今年も健在。思いっきりクラシカルな響きが嬉しい。

ティルのこのアルバムは前作「オセアーナ」以来1年半ぶり。考えたら、ティルはクリスマスアルバムってまだ出してなかったんだわぁ…

NYにはマルサリスがいて、ヨーロッパではベルリンを拠点にティルがいる。個人的にはマルサリスのある種、乾いたクールなインテリジェンスよりも、ティル・ブレナーの賢いけど温かみのある音楽に惹かれてしまう。それと、お育ちのよさ、天性のビジネス能力が彼のCD編集の端はしに見え隠れするのがファンとしてはたまらない。

今回のアルバムも彼オンリーのフューチュアではないところが憎い。
自分のバックグラウンド・オーケストラでもある、ベルリン・ドイツ交響楽団を従えての共演。そしてそういったクラシカルな、シネマライクな響きをベースにきちんと置きながら、彼のフィールドにきちんと導いてくれるアレンジ。
もちろん彼のトランペットは素直な美しい音色で申し分ないけれど、彼の甘い歌声も聴ける。そして白人だけではなぁ、と思っているとちゃぁ〜んとフランク・マッコムの渋い歌声が聞こえてきて、さらにニューヨーク・ヴォイセズのコーラスも入ってるし、ドン・グルーシンのゲスト参加も発見してびっくり!さらにトランペットのデュオがあって重ね録音かと思いきや、大人気のトランペット奏者、クリス・ボッティまで録音参加してる…

ティルのそのCD製作のプロデューサー的能力は天才的。結局、ヨーロッパからNYまで、聞きたい!と思えるクリスマスサウンドをあらゆる角度から聞けるように、一枚のCDに詰めてしまい、それでもって音楽全体の質がハイクオリティに仕上がっているからとんでもないゴージャスなCDなわけ。ティルのこのグローバルな感覚っていうのはベルリンから発信している訳だけれどこの自信。さすが。すっごい!なぁ…とため息ものである。

こういうの、ほしかったぁ!と思えるまさにジャストなクリスマス・ミュージックのアルバム。ティル・ブレナーの気品、品格が溢れている仕上がり。

(アーティストとしての独り言)
普通経費を考えるとオーケストラ共演がCDにたった2曲、他はアンサンブル、コンボで、等というのはスタジオを借りたりなどを考えるなら、普通あり得ない贅沢な録音(つまり赤字)になったりする。だから普通オーケストラ版のCDはすべてバックがオーケストラになるわけなのは制作費の関係上あたりまえなわけ。だから聞き手はやや飽きたりすることもあるわけよね。でもこの贅沢さっていったい……と思いながらよくCDのライナーを読んでると、録音はティルのスタジオ!となっていた。マイ・スタジオ!っかぁ…この余裕…うううむぅ〜〜〜。日本とは本当に事情が違う、違いすぎる!やはり本物って、余裕がないとでっきないよねぇ…(ため息)

買うのが間に合わない方!ダウンロードあり!
是非ご参考までに↓(視聴してみて)

ティル・ブレナー『White Christmas』
ティル・ブレナー『What Are You Doing New Year's Eve』
ティル・ブレナー『Silent Night』
ティル・ブレナー『Last Christmas』
ティル・ブレナー『Santa Claus Is Coming To Town』
posted by カオリン at 11:32| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月05日

湯浅譲二展 at 郡山市立美術館

exhibition00 開会式での湯浅譲二氏

周りの音楽仲間には実は、私が猛烈な湯浅譲二ファンである事は
かなり知れているみたい。

で、11/2は郡山市立美術館に日帰りで出かけてきた。
11/3から開催される「湯浅譲二展」の内覧会が
関係者を集めて前日の2日にあったから。

誘ってくださったのは昔からの友人でプロデューサーのK氏。
(業界では大変に有名なので今回はK氏で…)
彼には今回の事だけでなく、いつも素晴らしい機会を
下さる方で、とお世話になり通し。
いつも冗談話でじゃれてばかりだけれど本当は尊敬し続けている
御仁である。

郡山市は作曲家湯浅譲二氏の出身地でもある。
が、何しろ作曲家の展覧会を美術館でするなんて、
聞いた事がない。噂では氏の作品のスコアやグラフが
かなりの量で展示されるとの事で、それを見られる事も
期待大!で興奮状態。

会場にはサントリー財団、東京オペラシティ、東京コンサーツ、など
のお偉方がいらして、なかなか華やかな雰囲気。
開会式のあと、美術館の中を回ると…
それはそれは素晴らしくて、たくさんの作品のグラフが
一同に展示してあった。
湯浅氏は普通の音符の楽譜になる前に、彼独自のグラフを書き上げる、
という語法をお持ちであり、それは彼にしかできない
語法として有名である。

そのグラフはあたかも建築の設計図のようにも、
また現代アートの線画のようにも見えるが、
何しろ細密で美しく、慣れてくると作品を聞きながら
それを聞いたらちゃんと音楽の流れが見えるようになっている。

見ていると吸い付けられそう…に美しい。

それと美術館ではスコアの前で音楽がパーソナルなコンパクトプレイヤーで
聴けるようになっており、かなり知っている曲が多い私でも
これはかなり具体的に新鮮に楽しめた。


湯浅譲二氏は故武満徹氏と共に実験工房を立ち上げ、
日本の現代音楽のパイオニアとして活躍なさって、
さらに現代も精力的に作品が生み出され続けている、という
日本の作曲家の大御所中の大御所。
御年77歳。


ファンである私は数年前から秋吉台の音楽セミナーに連続で
参加したりしながら湯浅氏を追いかけてきた…
作品もさることながら、そのお人柄も魅力的で
魅了されてしまうファンはたくさんいる。

湯浅氏の作曲や人生の軌跡をあの郡山美術館で
拝見して、感無量になってしまった…
(ご自身も、こんなに作品を書いているとは思わず、
いっぺんに見るとなんというか、感無量な部分があった、
とおっしゃっていた)
あの美術館の空間の中で一瞬にして、湯浅氏にお目にかかってから
今までに聞いたたくさんのお話がフラッシュバックして、
目頭が熱くなったりする瞬間も…
自分が音楽的内面に悩んでいるときに氏に出会って
作品を見ていただき、的確なアドヴァイスを頂いた事、
元気付けてくださった事、数多くはないけれど
お手紙のやり取り…などなど…

きっとあの会場にいた方々はそれぞれに湯浅氏との歴史を
振り返った事だろうと思う。
貴重な貴重な時間だった。
東京にいらっしゃる時よりももっとくつろいでいらした
湯浅譲二氏の笑顔が、また良かったなぁ…

2shot いつもより甘えてしまったツーショット!
いつもよりも興奮していた私は、お決まりの湯浅氏との
ツーショットの時、つい、腕を組んでしまった!!!
画像がその時のもの。
何だか「本日は私は先生のスペシャル・ファンという事で
特別に許していただきますね。」とかなんとか
わけのわからない言い訳をしていたけど…
氏も笑ってらした…
普段、カメラを向けられたらすぐに同じ撮影用の表情を作る習慣の私が
この日は目がなくなるほど笑っているじゃないデスカァ!
それほど嬉しかったのよねぇ…

*****************************************
本当に心から大好きで、尊敬してやまない
湯浅譲二先生へ。
真摯に音楽に立ち向かい、ご自分に立ち向かわれるその
お姿をいつも尊敬しております。
これからも私たち音楽界の羅針盤であって戴きたい…と
切に願っています。
by Kaorin

★郡山市立美術館★

ラベル:湯浅譲二
posted by カオリン at 01:08| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月23日

アレンジアレンジアレンジ…

flowers01

たくさんの頂いたお花に囲まれながら、もう心は次へ。
ステージってあっけないなぁ…

でも今回は得ることたくさんあったし…たくさんの出会いもあったし。

さて、今は目の前にあるアレンジをとにかく仕上げないとね。

映画が見たぁ〜〜〜いぃぃぃ。

そうそう、本日はブリティッシュカウンシルの日。つまりビジネス英語の日でもあるんだっけね。前回2回、初めて欠席したのでどんなになってるかも不安。
posted by カオリン at 11:45| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月20日

三者三様歌いまくり♪「二期会週間2007第六夜」

nikikai 出演者集合ショット♪楽屋裏

蓋を開けてみると最前列からびっしりとお客様が入り、やはり満員に見えた、サントリー小ホール。お客さまの熱気に包まれながら、第一部開演。

ウェールズ語の歌、アイルランド民謡などから始まり、ピアソラ、オヴァーレ、など南米に関連した作品、そしてフォスター、H.マンシーニ、R.ロジャース、H.アーレン、ガーシュイン、バーンスタイン、J.スタイン、 F.ロウと続き、アンコールにはなんと、難曲で有名なバーンスタインのミュージカル「キャンディード」から「着飾って、きらびやかに」を熱唱!
プリマのお三方みな、体力が持つかしらと言っていたけれどなんのなんの、余裕で高音フォルテッシモ!!で最後を締めくくった。

全24曲。長いような短いような非常に集中した一晩。
大きなステージでのピアノ伴奏は練習時間が取れないからと断り続けてきたけれど今回熟考してお引き受けしたけれど、本当に良かった、と思っている。たくさんの発見があり、音楽の広がりを感じたから。

私は基本的にソリストがニコニコ満足そうにステージで演奏するのをサポートするのが大好き。今回それがどこまで出来たかわからないけれど充実した時間であったのは間違えなく、夏の終わりの練習時から通して、実りの多い季節を過ごせた。

おいでくださった方々に感謝。
画像は第一部出演直前に楽屋裏で写したもの。
今回はジャズスタイルも多く、動きも激しい作品が多かったのでとにかくマニッシュないでたちで演奏した。皆さんからフィギアのスケート選手みたい…と言われて…


ラベル:二期会週間
posted by カオリン at 16:04| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月19日

いよいよ本日「二期会週間第六夜」

いよいよ本日です。

私はほとんどステージの上に、というか
ピアノの前にずーっといることとなります。

チケット売れ行きも良くて、8割近くの座席が
予約となりました。
これだとステージからみるとほぼ満席に近く見えるんですよ。

どんな演奏会になるでしょう…
アメリカのセカンド国歌と言われている曲もあり、
ニグロ・スピリチュアル、映画音楽、ミュージカル、
ガーシュイン、バーンスタイン、のジャズやオペラまで。

当日券もあります。ぜひ皆さま。
いらしてください。
10月19日(金)19:00〜 サントリー小ホール

コンサートの詳細



二期会週間全体のサイト
posted by カオリン at 01:27| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月04日

相手変われば伴奏も変わる現実♪

nikikai00 二期会週間(出演は第六夜)

本日は「二期会週間」のお稽古でソプラノの竹村靖子さんのお宅へ。
今回は三人のソプラノのそれぞれの声質が見事に違うため、
曲もバラエティに富むけれど、同じ歌を歌ったとしてもテンポから
調性から、全てが全てことごとく違う。

それとアメリカンオペラ、黒人霊歌、ガーシュイン、バーンスタインの作品などの内、
きちんと楽譜どおり弾ける作品はほとんどなく、
ジャズのスタンダードナンバーになっている作品も多いので
結局音楽作りは伴奏者の仕事となる。

そこでプリマと相談しながらの音楽作りとなるが、
歌手の伴奏者というのはまず、何の調性でもすぐに
移調して弾けなければならないのが大前提。
場合によってはその場で譜面を出されて、いろいろな
調性で試してみて、仮に歌う調性が決まる。
これがかなりスリリング。でもこんな事は日常的な事ではある。

今回非常に学んでいるのは、声質の違いに対する伴奏の敏感な違いを出す大切さ。
ココ10年ほどは、藤井多恵子氏以外の方の伴奏はほとんどして来なかった。
だって作曲の依頼に追われていて、とても練習時間が取れなかったから。
今年は不思議と精神的に重い作曲依頼がお休みになり、そこにこの企画の依頼が来た。
本当に神様ってうまくタイミングを考えてくださってる!とは思ってお引き受けしたのよねぇ。

ただ内容を聞いた時、すでにこれは大変だなぁ…とは思っていたけれど
実際に本当にテクニックというよりも、精神的な深さと音楽の重み、を
嫌というほど考えさせられている。
実際竹村靖子さんの歌声と歌い方を聞かせて頂くと、それは深くて深くて…
こちらの未熟さがあっさりとばれてしまう。

竹村さんはソプラノ。ソプラノといってもドラマチックでもあり、
さらに声帯が長いのだと思うけれど、響きはアルトの音域まで低く
出せてしまう…
黒人霊歌などの時の歌声はバーバラ・ヘンドリクスなどを彷彿とさせる
深く、豊かな響きで日本人離れしている。

まさに今の二期会の大御所である彼女の歌声と音楽は自由自在な
フレキシビリティを持っているわけ。
今まで弾いて慣れていた曲目でも竹村さんの歌い方には伴奏を
完全に変えないと伴奏だけが子供っぽく浮いてくる、という
衝撃的な事実にぶちあたってしまった。

楽譜がないのだから作らねばならない…
「どんな和音、どんな合いの手を入れたら彼女の邪魔をせずに
音楽が一体となれるのだろうか…」
先週から一週間、悩みに悩んで曲作りをしてきている。
が、今日のお稽古で少し、彼女の音楽に近づけた感があった。

ここから完全に支え役として、伴奏者は音楽を固めねばならない。

今日のお稽古でもまだ、何調が良いかの調性選びがあり、
さらに楽譜は何度か上がったり下がったり…を繰り返す。
******************************

こんなにきめの細かな作業の積み重ねが
ゆるぎないステージを作っていくのだなぁ…と思うと
強制せずにそういうことを教えてくださるプリマ、
竹村靖子さんに出会って良かったなぁ…と感謝してしまうのと同時に
「絶対にかっこいい、豊かな音楽を作りたい…」という強い思いが
沸々と沸いてくる自分に興奮したりする。

大御所、あるいは一流のアーティストと音楽を通して触れ合えること…
それは音楽を職業にしている者にとっては至福の時でもあり、
また最高の栄養を与えられている訓練の場でもある。

音楽作りは作曲だけに限らず、真理は同じであり追求すればきりがなく、
本当に楽しく夢中になってしまう…
あと二週間。お客様と会場が一体になれるその空間を…
何としても作り出したい…

ラベル:二期会週間 伴奏
posted by カオリン at 02:12| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月26日

21世紀音楽の会 第六回演奏会

21century06
今日は《21世紀音楽の会第六回演奏会》があり、会員である私ももちろん
東京文化会館へ出かけた。

出品者の作風はエネルギッシュ。ここ数年、それはさらに勢いがついているような気がする。力作ぞろい。
他の現代音楽作曲家の団体と違ってこの《21世紀音楽の会》は師匠野田暉行氏の門下の集まりでもあるので、どちらかというと、書法に重きがおかれる、という点において、やや作曲家の個性が似た部分を持つ傾向が少なからずあった…

が、最近は海外からの帰国者、外国人留学者なども増え、かなりバラエティが増してきている気がしている。

自分などは職業作曲家も兼ねて生活している部分があるため、社歌やテーマソング等々、大衆的な甘い曲も当然書いているわけで、この《21世紀音楽の会》の追求型の作品群を聞くと初心忘れるべからず…という気持ちにさせられる一方で、「優秀であること」と「個性的であること」の難しさを考えさせられる。

コンテンポラリーを聞いている場合、いつも聞きながら曲を分析していくことは習慣になってはいるものの、一方で「もし自分が演奏家だったら、この今演奏されている作品の作曲家に作品を委嘱をするだろうか…」と考えながら聞くことも多い。

そうなってくると途端にいいなぁ、と思う作品は減ってしまう。優秀だからといって委嘱したいとは限らないわけだから。作品として優秀というよりは私は個性的な方に圧倒的に惹かれる。緻密に書かれた凡庸な曲よりは荒削りだけれど何か光っている…という作品の方が興味深いわけで…

優秀…という言葉は魅惑的で、言われて嫌な気持ちになる人はまずいない。これが問題なわけでアーティストになるにはその優秀、という言葉に過剰反応せずにその先の目的を果たせねばならない。それ故に音楽家は一生旅人だと思うわけ。しかしながら優秀にもなれない自分はどうしたもんかなぁ…とかね…ため息出たりね…

そんな事を考えていくと自分が歳をとったんだなぁ…とつくづく感じたりする…

良い作品、と一言に言うけれどその概念はあまりに限定がし難いほどさまざまな視点が存在する。音楽は深いなぁ…そしてミステリアス…本日はなんの結論もなしに無責任に言いっぱなしで終わりっと。

ラベル:現代音楽
posted by カオリン at 23:58| 東京 ☁| Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月03日

メセニー&メルドー夢の来日公演迫る!

ご存知の方も多いかもしれないけれど
普段の私はジャズが大好き。子供の頃に「レフト・アローン」
聞いたのが最初。ビル・エヴァンスは私にとっては神様みたいな存在。
そしてチェット・ベイカーのかすれたトランペットの音色と
彼のけだるい歌声にはまった。
チェットが不慮の事故死を遂げる直前の来日公演も聴きに行った。
まさかそれが最後になるとも知らずに…
****************************************

パット・メセニーを良く聞いていたのは今からほぼ20年前。
ジャズともロックとも…何ともジャンル分けできない彼のサウンドは
まさにフュージョン・サウンドというカテゴリーに属したと思う。

エレキギターの革命のような音楽を彼は作り出していた。
理知的なセンス、メロウなサウンド、叙情的なカラー、
それでいて攻撃的な高揚感…たまらなく好きなアーティストだった。
ライブにも出かけたりしていた。

さて、1954年生まれのメセニーから遅れること16年、
1970年、この世にに誕生したジャズピアニストのブラッド・メルドー
サックスプレイヤー、ジョシュア・レッドマンのアルバム初参加で
衝撃的な話題を呼び、その後ブラッド・メルドートリオでデビュー。
初めて日本のブルーノートに来日。
この時、ブルーノートに出かけた際に聞いた彼の音楽は忘れられない。
ジャズ界では「ピアノの吟遊詩人」と言われたけれど
そのインテリジェンス溢れる音楽の構造と、ピアノのタッチの美しさ、
そしてそのメランコリーで繊細なショパンを思わせる
コードプログレッションと、雨音のような独特のリズムに酔いしれた。

そんな16歳も年齢差のあるコンテンポラリー・ジャズ・アーティストの
二人が運命の糸に引き寄せられるかのように意気投合して
昨年に初アルバム「Metheny Mehldau」をリリース。
話題を呼んだ。

そして今年、さらに「カルテット」をリリースして、今月とうとう日本にやってくる!

大好きな二人ビッグアーティストのユニットなんて夢のよう…
早速チケットを押さえたけれど、驚くべきことに一番良い席の
SSがもう売り切れ!
いかに彼らが日本に確固たるファンを持っているかがわかる。

もちろん2枚ともCDは入手した。聞いてみると…
MMQuartetMM

この二人はこの二人でなければ作れない世界が出来上がっていて、
蜜月というか何と言うか…お互いにお互いを待ってたのではないか…
という仕上がりになっていた。
16という年齢差もかえってよい感じ。パットが暴走せずに
ブラッドに寄り添う感じでブラッドがまたパッドを尊敬している事も
良くわかる。
それでいて二人はハーフ&ハーフ。

それにしても考えるにパット・メセニーは16年下のアーティストと
組んでもさらに光って見えるという、つまり時代を先取りしていた
驚くべき才能とセンスの持ち主だったのだと再確認した。

そしてメランコリーなカラーのブラッドはパットと音楽を共有する事で
品の良い野性味を見せたりしている。

SS席から売り切れるの、当然かもねぇ…と思った。

来日記念インタビューがネットで見られるけれど
ここで二人がすごい会話をしている。
プロになりたい人のためにどんなアドヴァイスが良いか…
みたいな話題で、二人の口からブラームスやショスタコービッチの
名前がさらりと出てくる。すごいなぁ…とさらに感心。
人間が豊かなのね、このお二人。だからジャンル分けできない
音楽を作ってしまうって事でしょーねー。
ご興味或る方はぜひインタビューのビデオ聞いてみて!
ココね↓
来日記念インタビュー
********************************

ここで視聴できます。

カルテット

Metheny Mehldau



今月末の来日が楽しみ!
posted by カオリン at 23:38| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月21日

先生としての仕事。

今、受験生を預かっているので、責任重大…
元から私は教えることに関しては気分屋だし、責任感が強いとは言えず、
ましてや感情的なので本当に教職には適していないと思っている。
りくつで教えるのは最も苦手。
美しい音、美しくない音。美しい音楽、美しくない音楽。という言葉でしか語れない方であるから、理論の授業や作曲のレッスンはかなりストレス。

それでも受けたいという人がいれば応援せざるを得ない。
芸大の課題曲が出た…、A子ちゃんとその相談をしている最中に、
違うお弟子B子ちゃんから連絡で至急レッスンを見てほしいって…

やってきたB子ちゃんに聞いてみると、教員採用試験の一次試験が通ったので二次試験が迫ってるって言うのね。9月に。
あと10日しかない!!!

ウチはいろぉ〜んなお弟子がやってきて彼らの望む事をカウンセリング
してからレッスン形態を決めるのが常。
受験用のセンセイでもないし、趣味の音楽教室ともちょっと違うかな。
ま、オーダーメイドレッスン、というようなもの。
それはともかく…

レッスンを開始して私は激怒!
「どうしてもっと早くに連絡して来なかったの?」
「まさか一次が通るとは思わなかったのでぇ…」

私はこのフレーズがとっても嫌い…である。
じゃあどういうつもりで受けたのよ!っと言いたくなる。
受かりたいから、受けたいから、通りたいから受けるのでしょう?
試験って…ここで私は完全に感情的になっちゃうんだなぁ…

「あのね、受けるなら最後まで受かるつもりの準備をしなくちゃぁ…
だめなんじゃないの?落ちるつもりの準備じゃないの、その言い方は。
今年落ちたらまた一年待つわけでしょう?
時間は帰ってこないでしょう?イージーすぎる…でしょう?
どうせ、っていう感覚で臨むのはどうかと思うのよねえ。
ちょっとの間で我流でもこれだけ努力してできるようになって来たのは
わかるワケよ。、だったら半年前から準備すれば
必ず通ったのに…あと10日でメッキしなさいって言われたって
こちらにも限界があるんだからさぁ…(怒)
人生がもったいないと思わないの?!!!
時間はお金でも買えないのよ!」

(泣き出してるのよねぇ…B子ちゃんは。ゴメンねぇ、泣かせるつもりじゃあ…)

「もう、高校生じゃあないでしょう…だから貴女の人生を私が
追いかけてお尻叩いてどうこういう時期ではないから…
貴女がやりたいことは貴女が考えて、設計してほしいのね。
それのサポートならいくらでもできるけど…
今回の事はやはり貴女の人生観のビジョン不足。
貴女の人生に対する甘えでしょう?
私の門下生にはもっと積極的に生きてほしいのよぉ…わかるかなぁ…」
(泣き続け…残酷なセンセーだよねぇ、ホント。
ちょっとねぇ、この押し付けがましさはさぁ、ど〜よ…)

「ま、これ以上怒っててもしょーがないから、とにかく
ぎりぎりまでやっていくしかないわね。」
(ほとんど私ひとりでしゃべってるよねぇ…)

ということで、とにかくポイントレッスン!!
そしてレッスンの後、彼女から受験に出そうな
問題を全部コピーさせてもらった。
それは弾き歌いのもの。旋律が出て、それに前奏、後奏をつけ、
伴奏つけながら歌う、というものね。

大半の子達がこれが苦手なよう…
受験科目のうちで彼女が勝負できるとしたらココ…だと直感。
みんなが苦手な所を逆転勝ちするしか勝負はできないなぁ…

で、弾き歌い問題の模範解答をがんがん作った。
で、彼女の家に速達で発送完了。
丸暗記しか、もう方法がない…理論もへったくりもない…
手がその形を覚えてくれさえすれば…

奇跡を願うしかねぇ…、あと一回のレッスンでどれくらい覚えられるかなぁ…

友人で絶対に音大に合格させられる、っていう素晴らしい先生がいて、
彼女のそのカリキュラムに驚いたけど、私ってつくづくメソッドで教えられないんだなぁ…と痛感。不器用なのよぉ…
だから弟子も不器用系が多いのよねぇ。

ただ、がんばり屋さんだけがウチの門下に残った子達の特徴かな。
まぁ、類は友を呼ぶ…って事?
み〜んな、叱られても打たれ強いって言うか…
まぁ、こんな短気で感情的なセンセに弟子入りしたら忍耐強くないと
持たないか…

受かってくれよ〜〜〜♪…と祈るしかできない
情けないセンセより。

そんななか、本日聞いていた作品は…
トーマス・アデスLife Story というアルバム。
lifestory
この中の特に『Catch Op 4 (1991)』
という曲が好き。

今は配信があるので1曲150円とかでダウンロードできるし便利。
ココで視聴もできる♪

posted by カオリン at 01:20| 東京 ☁| Comment(6) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月09日

言葉使いと知性

kimonosummer02

先日、一日に二度演奏会に出かける!という日があった。
一つはお弟子の一人が知り合いのプロデューサーのお力で
きちんとした演奏会を企画していただいた、というもの。
もう一つは、N響が演奏する「ミュージック・トゥモロウ」

N響の演奏会については次回に触れたいと思う。

近頃英会話を始めた、と話すと皆一様に「えぇ?カオリンには
必要ないでしょう?」と言って下さる。
買いかぶりもよいところでありがたいな、とは思う。

何故、英会話を始めたのか…それは
語彙を増やす事と共に、
ポライトな英語を身につけたいからである。
ポライト=丁寧、というよりも
洗練された…と言う方が希望かもしれない。

ヨーロッパは階級社会。
その階級社会で何が大切か…というと…
言葉使い…だと感じている。
言葉使いでその人のグレードが量られる事がある。
日本のような島国と違って、ヨーロッパは陸続き。
どこのどんな感じの人かは咄嗟に言葉で判断して
対応の仕方を考えようとする歴史があるのかもしれない。

大声で話す人はやはり敬遠されるし、
品のある人は美しい言葉使いをしている。
そういうのは見ていて素直に憧れる…
大体からして何の分野でも「美しい…」というのには
滅法ヨワイ…性分にして…

それから「ベッド・サイド・イングリッシュ」というのもある…
意味は言葉通り…デス…
こういう習い方をすると、女性は男言葉になり、
男性は女言葉になってしまう…
皆、パートナーを見るとニヤリとするのは、
そういう事、よね。
そこには「知的」とか「品位」とかいう評価は無い。
よく、海外でお見かけシマス…ハイ。
もちろん全員がそういうワケじゃあない、もちろん。

「別に?普通でいいじゃん?普通でさぁ…」という
意見もわからないではない。

でも…ステージに立つ仕事だったからなのかな、

ステージ上は日常から離れた世界だし、そこで
生活の匂いが出てしまう事や、下品なのはイタダケナイナ、と
体感してきたからかもしれない。

******************************
さて、先日の若い人達のアンサンブル。
もちろんお弟子も混ざっていたけれど…
演奏はフレッシュでカワイイのね、とても。
ステージの合間合間にMC(司会)が入る。
すべてメンバーでやってのける…素晴らしい…
と思って聞いていると…
?????? !!!!!

すごく言葉使いが悪い…というか、荒いし汚いし、
さらにメンバーのほぼ全員が「えっとおぉー…」というのを
連発する。
「えぇ…」「あぁ…」ならまだしも「えっとおぉ〜…」で
揃っている。
1つのセンテンスに5回ぐらい入ってくると
さすがにゲンナリしてきた。
何だかいかにも頭が悪そうに見えてくる…

折角の良い演奏も台無し…になりそうで悲しくなった…

昔は仕事の先輩方から、相当しごかれて
こういうのは滅茶苦茶に叱られた。
「ワタシ」と言わずに「ワタクシ」といいなさい…とか、
ステージ上でメンバーを決して「〜さん」付けで呼ぶな!とか。

でもね、今は謙譲語も尊敬語もめっちゃくちゃだから…ね。
時代背景からして、そういう時代…

今はこういうの、教えて下さる先輩、いなくなっちゃったのかしら?
帰り道は複雑な気持ちになったけれど
いつまでも「昔のセンセ〜」が意見も求められないのに
お説教モードになるのも私の性格でもないし。

今私の手元にいたら言ったかもね…
今はもう卒業しちゃったんだし、まして
その言葉使いをするメンバーは赤の他人だから…
でも、そのお弟子があのメンバーと一緒に
活動するとそういう人だと思われる…
それはそれなのだしねぇ…と…

彼女達を傷つけずに誰かが教えてあげる場があればなぁ…
と切に願うだけしかできなかった…

ステージは総合芸術。
もはや音楽性だけが良ければ良い、と言う時代ではない。

そしてそれ以前に言葉使いはおのずとその人の知性と人格を表す…
と私は信じて疑わない。

最近、ハンカチ王子やハニカミ王子の言葉使いの
確かさと流暢さにインターナショナルな品位を感じるのは
私だけかしら…
品位を感じるから「王子」と呼ぶのでしょうねぇ…

本日は説教モードで、何だか…我ながら歯切れが悪しな夜…

そういう私もベルギーの兄と慕うYUTAKAさんに
英語の使い方で「こういう使い方はゼッタイに
相手に失礼になるから…」ポライトではない…とビシっと
アドヴァイス戴いたばかりで…
学校で習った基礎の英語にも失礼な言い回しってあるのよねぇ…
と怖くなって…
何とも…ね、反省と努力の日々なのだけれどね。

posted by カオリン at 20:04| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月19日

至福の時をもたらすAudioProのサウンド

audiopro01AudioPro Cinema C10
先週末は続々と注文したオーディオ製品が届き、
その設置と配線に追われて終わってしまった。

まずはサイドとセンタースピーカーがAudioProに変わり、
サラウンドスピーカーはB&Wに変わった。
B&W LM1B&W LM1

で、この際…という事でアンプもYAMAHAからMARANTZに。
到着してみると、部屋中ダンボールの山になってた〜いへん!

Audio Proの製品は想像以上にフォルムが美しくスタイリッシュで
驚いてしまった…
(画像クリックで是非見てみて!)

さらに驚いたのはどの製品にも手袋がついてくる…
audiopro02使用説明書&手袋
これだけでも「大切に扱って!」と言われているようで
取り扱いがうやうやしい手つきになる。

半日かけて設置後、今度は機材同士の調整。


結論:
スウェーデンの生んだAudio Proの製品。
一言でいうなら、「上品な音」に尽きる。
解像度も良くて、音は階層をもって立体的になる。

特に声の表現で定評のあるセンタースピーカーは
本当に素晴らしい。

今まではパワーのあるスピーカーだっただけに
最初は繊細に感じたこのAudio Proが気づかせてくれたのは
音の細部の立ち上がり。

ゴロゴロした大きな岩から、同じ質量の彫刻品に変わる…
それほどの違いが有る。

オペラ、シンフォニー、ジャズ、ボサノバ…そして
コンテンポラリーも…そして当然DVDも…

すべてに清潔感がプラスされたような気持ちよさと、
高音の伸びやかさの心地よさ。

「へ?これって本当は、こういう響きだったのかぁ…」と
やってると一日なんかすぐ終わってしまう。

いろいろと試して楽しんだ週末だったけれど
これで音楽を聴いていると出かけるのがいやになるほど
気持ちが落ち着く…

++++++++++++++++++++++++++++++
多分本国スウェーデンで聞いたら…
この機材たちはもっと純粋に鳴り響く気がしている。

それはすぐ近くの国、ベルギーの古い家で音楽を聴く際に
いつも、常に空気の隅々まで響き渡る、というのに
感激しているからで、それは
湿度、時代を経たための多孔性の家屋、などなどの
複雑な条件が重なってできる環境。
(これらは日本とのホールの響きの違いでも感じるのよね)

残念ながらこれだけは変えることができないと
わかってる…

でも日本の東京でも充分に満足。
Audio Pro
posted by カオリン at 10:41| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月14日

スウェーデンのAudio Proのスピーカー

audiopro
明日、手元に来る事になっているのだけれど…

センタースピーカーとサイドスピーカーを新た今よりグレードアップする事にした。
大分以前から考えに考えていたのだけれどやっと実現。

候補は4社。
イギリスのB&W。ここは最も一般には人気があってポピュラー。
デンマークのBang and Olufsen ゴージャスでデザインも個性的。
デンマークのDALI クラシックとボサノバなど、声を自然に表現するスピーカー。その音の透明感に定評がある。
スウェーデンのAudio Pro 知る人ぞ知るメーカー。価格の割には完成度が非常に高く、伸びやかな音と低音に魅力。

最後はDALIとAudio Proで悩みに悩んだ末、
画像のAudio Proのものにした。

今までの環境はYAMAHAのやや硬質な音場環境だったので
その違いは楽しみ。

結構な出費ではあるけれど、実家の母屋の清掃で
くたくたに疲れて帰ると、本当に良い音で好きな音楽を
聞きたくなるのよねぇ…
今まで先延ばしにしていたけれど、
自分を励ます意味でも決断しちゃった…
それに毎日埃まみれで外出もままならないから
ショッピングはストレス解消でもあるし…

インプレはまた後日。
やっぱり最近は、自分の中に「北欧ブーム」が
存在を大きくしてる…と、つくづく…(笑)


ラベル:Audio Pro Dali
posted by カオリン at 14:21| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月19日

約束

PSMeuge★Pierre-Stephane Meuge
帰京して初めて今日は公的な外出がなくて良い日。
でもいろいろと溜まった仕事をしているとすぐ夕方になってしまう。

今回、大阪からの帰り際に「今度は何を書くの?」と
外囿氏に尋ねられて、ふっと…珍しく次の仕事が
詰まってない事に気づいた。
こぉんな事は珍しく、というか休みがないと本当に
頭の中が痩せちゃうから恐ろしい事なのだけれどね。
ここ2年以上は何しろ休みがなくてなくて…
アレンジだと半年で何十曲も手がけられるのに、
コンテンポラリーの作曲…となると2ヶ月に一曲がやっと…
それも立て続けは無理…というのが私のペース。
少し充電したいなぁ…とつくづく…
先々月のベルギーでは充電ではなくて毎日「リトルシネマ組曲」を
書いてたからねぇ…充電できてないわけね。充実はしてたけど。

夕方になっていろいろな発送業務を終え、
帰ってきて…帰国後久しぶりに天然酵母からパンを焼く事にした。
といってもマシンにセットするだけね。でも焼き上がりに7時間かかる。
その前後は外出できない。
****************************************

時々思い出す演奏家がいる。ピエール=シュテファン・ムジュのこと。
秋吉台で私の持参したサクソフォンのソロの曲をプライベート・タイムに
初見なのにほとんどインテンポで演奏してしまってそれも
非常に魅力的に演奏して下さった…
その時に「何か新しい曲ができたら連絡が欲しい」と
メールアドレスを頂いたまま。

この時私はすっごいカルチャーショックを受けた…
サクソフォンでこんな絹のような音楽を奏でる人がいる…
現代奏法をすると音が汚くなるなる傾向がある中でまさに
私が思い描いていた演奏家…に出逢えた…
華やかでしなやかで伸びやか…無限の響きとテクニック。

彼は今、スイスのローザンヌ音楽院の教授。
でもとっても若いのよね。
あちらで教授になるのは年齢は関係ないのかも。
書きたいなぁ…サクソフォンの新曲。ムジュ氏に演奏して欲しい…

それと3管編成のオーケストラ曲。書きたいなぁ…
今回の録音は2管編成に押さえたし、コンチェルト形式だったから
オーケストレーションが全然違うのよね。書きたいなぁ…
これはやはり半年から1年みないと…書けないわねぇ…

おっと…その前にアントワープにいるYutakaさんから頼まれていた
ピアノのデュオがあるのよねぇ…今年の春「まだ急がない」とは
言って下さったけれど次回お邪魔する時には持参したいぐらいだものねぇ。
これはある程度書き進めて止まってるから再開しないと…

珍しく今は、委嘱じゃなくて自分が書きたいだけ書きたい…
という欲求が高まってきてるみたいでなかなかおもしろい…

やぁ〜っぱりどっかへ消えるしかないかなぁ…
こんな事を考えられるってことは、相当
自分が解放されてる証拠。働き過ぎはやはり
良くないってことねぇ。
一生ふら〜り、ふらりん、と暮らしたいのが私の信条。
こんな雲を見つめるような日々はどれぐらい続くかしら…ねぇ…

あぁ…ひとときのしあわせ。ベルギーにもう行きたくなっている私(笑)



posted by カオリン at 21:51| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月18日

反省ー希望ー感激

Rigagrandリーガグランドホテル

昨晩の最終便で帰京。
肉体的には全く疲れなかったけれど
精神的には非常に凝縮したパワーを必要とした
仕事だったと思う。

録音当日…
マエストロ、下野竜也さんとの最終確認を済ませ、
最初の第一音が…もう違うのよねぇ…
音が芯から鳴ってくる…
何テイクか取るうちにさらに音がまとまりをみせて
音楽が流れ始めて…
大阪フィルハーモニーは素晴らしいオーケストラ。
それを実感して感激した。

ソリスト外囿祥一郎氏は絶好調。
この御仁は本当に疲れを知らない…
本当に金管楽器の演奏者なのだろうかといつも不思議。

普段私はネガティブな事を口にしない事にしているのだけれど
それでも弱さの方が勝ると気持ちがグラグラと来る…
「いかん、いかん、こんな事じゃぁ…」と自分に渇を入れる。

今回はまさにそう…同じCDの作品には三枝成彰さん、
前田憲男さん…と超ベテランの作品が並ぶ。
比較はどんなに愚かな行為かとわかってはいても、それを聞けば
どんなに自分のオーケストレーションが稚拙か…
そんな事は指揮者もオーケストラの方々にも一目瞭然なわけで。
まして自分は最年少…キャリアも共に…ね。

自分の作品自体(オリジナリティと言う意味で)を恥ずかしい、
と思うことはない。というか、それを否定したら
自分の居場所がなくなるし
この曲を選んでくださった方に失礼だし…

最近は「自分を信じよう」がテーマなので
それはそれだけれど、オーケストレーションのテクニックは
また別…

現時点でどうにも取り返せない距離感は大きく存在しつつ
それでも今のありのままの自分で最大限できる事を
する…それしかなかった…

マエストロ下野の楽譜処理のスマートさ、パッションには
感激を通り越して申し訳なさでいっぱいになった。
楽譜の欠点を補うためにどれほど「リトルシネマ組曲」の楽譜を
読んでくださったのだろうか…

さらに現場では演奏しずらい箇所を
コンサートマスターが次々とアイディアを
出してくださり、色々なところが改善され、
結果、「リトルシネマ組曲」は楽譜以上の
音楽に仕上がってしまっている…

ソリスト=外囿祥一郎氏が光り輝いているのは
下野さんと大フィルのみなさんが一致団結して
ひとつになったからなのよねぇ…
一流同士だから必ず良いわけではない…
強さがぶつかりだめな事もあるのは何度も見てきた。

でも一流同士がひとつになったら
その音楽の輝きは想像を絶するものがある…
スゴインデス…ホント…

なんて素晴らしい場所に同席させていただいたのだろう…

その一方で…
どうしてこんなに難航する曲しかかけないのかなぁ…
演奏が難航するのはひとえに作曲家の技術不足…
楽譜に力がないからだと私は思っている。
(もちろん普段のコンテンポラリーの世界は演奏不能な
部分を追求するから、その場合は別だけれど)

録音を終えたら一人の男性がニコニコっと近づいてらして
「リトルシネマ組曲、い〜い曲ですねぇ…」と
言ってくださった。自己嫌悪で逃げ帰りたい気持ちだった
私は予期していなかっただけに、
ふっと目頭が熱くなってしまった。
危なかったぁ…
オーケストラの事務局の方だった…
素直に嬉しかった…
フルート奏者の方から「いやぁ、おもしろかった…」
と言われた。

もっともっとテクニックを身に付けなければ…
自分の表現したい事をもっと明確に形にできなければ…
こんな素晴らしい方たちに演奏していただけているのに
それに見合うだけの実力が足りなすぎる…
悔しさと恥ずかしさと感激と…いろいろな感情が
ごちゃ混ぜになっていて。

さらなる精進を誓いながら帰途についた。

楽譜の当初の欠点はいろいろ書いたけれど
演奏によって今回は、それらが全くカバーされているのが
すごいことであり、感謝しかない。

このCDは素晴らしいCDに仕上がってくる予感がしている。
それは、曲目も多岐に及びバランスの良い
プログラミングで構成されている上に、
何よりも、指揮者をはじめ演奏者が一つになっている
良い演奏で録音されているから…
そして佼成出版のスタッフの皆さんの企画、
フォンテックの超ベテランレコーディングエンジニアの方々
の名編集で仕上がってくるのだから…

是非みなさま、お楽しみに。
画像は最終日に宿泊した
なんばの近くのリーガグランドホテル。
posted by カオリン at 11:11| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする