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2010年08月01日

その後のマイベヒシュタイン♪

bechi_up.jpgArs Nova 124

我が家にお嫁に来てから2年が経つベヒシュタイン Ars Nova 124 調律は5度ほどしたが3か所ほど響きの嫌いな鍵盤があり、それを今お願いしている調律の方に訴えたら「楽器の木枠のエイジングが進まないうちは響きが安定しないのでもう少し待ちましょう」との事。

最近はその苦手な響きを出す3か所の音がかなりマイルドになっているのに気付いた。エイジング、ってそういう事なの…と。生きている、呼吸しているピアノ、というのは今まで4台の国産グランドピアノを弾いてきたけれど、感じた事がなかった。もちろん国産グランドピアノは手入れが非常に楽で狂わないという利点を備えているのは確かではあるが。

それと当初ベーゼンドルファーのアップライトの試弾をして一目ぼれ、その500万円近い費用をどうしようか、と夢にまでうなされるほどだったが結果、ベヒシュタインが来てみると、ベーゼンよりも小さい(高さがない)のに音が大きい、時に大きすぎる!と思えるほど。これがもっと背の高いベーゼンだったらどんなに自宅では音量がありすぎたか、と思うとやはり我が6畳以下の部屋では響きすぎるピアノは要らなかった、とホッとしたりもするわけで。
プロが音圧を計測に見えた際、我が家のアルスノーヴァの低弦の音圧は国産グランドピアノのデシベルをはるかに超えていた、という事実があり、設計業者が驚いたほどであるからその響き方は全くスケールが違う、と言える。

やはりこのベヒシュタインArs Nova 124を購入して良かった、と事あるごとに思う。

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さて、最近とっても興味深い事があった。
アンサンブルのピアノお稽古合わせである場所に伺った。立派な国産のグランドピアノ。弾き始めて私は思わずペダルに目線を落としてしまった。

「あれ?」音が響かないのである!で、弱音ペダルであるとか、セカンドペダルがなんらかの形で押されてしまって音がフェルトで押さえつけられるかのようにくぐもった、モクモクの音になっているのではないか?と思ったのである。

結果は「ノー」だった。自宅のベヒシュタインばかり弾いていたらよその会場の国産のピアノはこんなにモクモクの音に聞こえてしまうのだと驚いた。申し上げておくがそこのピアノはきちんと調律されて手入れされているピアノである。実は実家のグランドピアノでレッスンをする際にも感じていた事。梅雨の季節には音がくぐもるのだが、一年中梅雨なのかな、と思えるほどくぐもって感じるようになった。やはりこの二年間でベヒシュタインの響きが自分の耳の中でスタンダードになった、という事か。

それと自宅スタジオはアビテックス等ではなく、音響設計の設計者に防音をお願いしているので、防音がメインではなく、音響が美しい、というのがメインのスタジオになっている、というのも大きいのかもしれない。ずいぶん贅沢なスタジオになっていたのだ、と1年間で気づいてきている。楽器と防音で700万円!は高い買い物だったとは思うものの、絶対に手に入れられない音響空間が毎日手元にある、というのは素晴らしい事だと今更ながら実感してローン返済に励んでいる日々(笑)

私は音楽演奏のプロであるのにも関わらず、ヨーロッパのピアノの良さを追求し始めたのは大学卒業後20年以上も経ってからである。もしこれが小学生の頃から自宅にベヒシュタインの、いやあるいはザウター、プレイエル、ベーゼンドルファー、スタインウェイ等のヨーロッパ製アップライトピアノがあったりしたら、どれぐらい耳が洗練されたのだろうか、と思う。

タラレバばやめよう。現実を直視して。人生の後半からでも、ステージだけでなく、自宅でそんなゴージャスな響きを毎日浴びて暮らせる事、それで十分である。

◆ユーロピアノ
◆松尾楽器
◆ベーゼンドルファー・ジャパン
◆音響設計のアコースティックエンジニアリング
ラベル:BECHSTEIN
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2010年03月18日

ベヒシュタインの流れを汲むW.HOFFMANN=ホフマン・トラディション♪日本デビュー

hoffmann.jpg W.HOFFMANN T-161(2.550.000円)

3/17にユーロピアノの八王子センターにおいて
昨年日本でデビューしたW.ホフマンのピアノを使用しての
レクチャーと内藤晃さんの演奏が聴けてさらに試弾もできる、
という事で出かけてきた。

今までユーロピアノのピアノは数々試弾させていただいて
このブログでも度々紹介してきている。

W.ホフマンについてはアップライトしか弾いた事が無い。
さらにそのW.ホフマンのアップライトというのは
コンセプトはプロ向けというよりもアマチュアで
国産よりももっと音楽を楽しく感じて弾きたい、という方向けの
楽器という風に自分の中では位置づけている。

そのW.ホフマンから素晴らしいグランドピアノが出ました、
というお知らせ。価格を見ると非常に手頃で国産と大差ない。

先入観はいけないな、とは思いつつもお目当てはどちらかと言えば
内藤晃さんのピアノが目の前で聞ける、と言う魅力も大きかったし、
でもとにかく聞いて、触ってみようと思ったわけ。

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お客層は関係筋の方が多かったようにも思う。
当日は国産のピアノも隣にあり、
同じ曲が違うピアノで味わって聞く事ができた。

通常メインメーカーのセカンドラインのピアノは別会社に作らせて経費を削減している事が多い。が、このHOFFMANNは本当にベヒシュタインのスタッフが設計作製している、というのがメーカーの売りなのだ。つまり楽器の細部まで人任せにしていないよ、という事。

なるほど…。

価格帯でいうとベヒシュタインのアカデミーシリーズのA160が435万円で、それの下のライン、という位置づけになっている。A160はそれはそれは何台も試弾した経験がある。

さて、そのW.ホフマンの音を聞くとそれは一目瞭然で驚いた。
当日演奏された楽器はT177(176センチの長さ)。
国産はそれと同等のものが使用された。

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聞いたところでの特徴をここに:
・全体に丸みを帯びた柔らかな音の立ち上がり
・金属系の鳴りは非常に少ない。
・中音域の豊かさはとても良くさらに音の独立性が非常に良い。
・空気を含んだ感じの音色も特徴(=音が鳴ってから良く広がる)
・中〜高音域はキラめきというよりも厚みがある。
・それに対して低音はパワーは少な目だけれど非常に表情豊か。

内藤晃氏が演奏した曲目で感じたピアノ曲とピアノ自体の相性をココに:
バッハ=甘すぎずにまろやかな音色が出せるピアノだ。
べートーヴェン=フォルテの音色が濁らずソリッドさが際だった感じで好感が持てた。
ラヴェル=低音は正直に音が立ち上がってくる感じ。変なクセがない。ppでも音の芯がぼけずに粒立ちが良くクリアだった。

特にラヴェルのような近代の曲になると単なる鍵盤の様子にプラスしてペダリングの特徴も述べなければならないが、このあたりはベヒシュタインの響きと同じで、透明水彩画のような感じで、ペダルを踏んだまま音を重ねても透明なまま上に響きが増えていく、という特徴はそのまま。

ベヒシュタインの方がキラメキが特徴であるのに対し、このW.ホフマンはまろやかさが特徴のように聞こえた。

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内藤晃氏は非常に優れたピアニストでありインテリジェンスの際だったパフォーマーなので大体どういう楽器でも瞬時にクセを聞き抜いてそれの楽器に対応した演奏をする。
なので、そういう意味では国産のピアノを弾く際にも見事にペダリングなどで無意識にカバー修正して演奏してしまうので、そのあたりは判断が難しいものがあったが、それでも違いははっきりしていた。
国産とホフマンのどちらが良い悪いではなく、HOFFMANNは絵の具の色がたくさんあるパレットのような楽器である。
さて、そういう一流のアーティストが弾くのと自分がユーザーとして弾くのではどうなのだろうか…

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弾いたところの感想をここに:
・何しろ鍵盤のレスポンスが速くて敏感。
・予想よりもはるかに一つの鍵盤の中に何種類ものスウィートスポットがたくさんあった。
(つまりPP→FFだけじゃない色がたくさん出せると言う意味)
・音が丸い割にはクラシックタッチの物もジャズタッチのものも自由自在だった。

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よくピアノの先生の中には「日頃重い鍵盤で練習した方がよい」と仰る方がかなりいるけれど、私は違う意見である。
重い鍵盤というのは大体レスポンスが遅い。私はこういう楽器は選ぶべきではないと思っている。

先に挙げた先生のおっしゃる事というのは「重い鍵盤で練習すれば指に筋力がついて本番のステージで軽く感じて弾ける」という意味らしいのだが…何やら昭和の努力→必勝=的な感覚を覚える。

重い鍵盤で練習していると力ないユーザーはどうしても音を鳴らしたくて鍵盤に必要以上に指を押しつけて弾くクセがつく。そんなクセでいくら本番のステージに臨んだって良い音は出ない。ピアノは打鍵と書くが実は叩くよりも弾いた後の指の引き上げる早さがテクニックに繋がる。つまり弾き終わった指が速やかに上に引き上げられればどんどん速いパッセージが弾けるようになるのだ。なのにレスポンスの遅いピアノを弾いていたらその指が引き上がる速度が上がるわけはない。押しつける筋力だけが悪いクセとなって残るだけ。そんな練習を20年もして音大を出ても困るユーザーが増えるだけである。もちろんアマチュアにも同じ事が言える。

実際にステージで演奏していて重すぎて困るピアノなんかない。だったら自宅でもステージと同じようなレスポンスの良いピアノで練習すべき。そしてその良いレスポンスの楽器で自分の表現したい色をどんどん探すべきである。そういう練習の中でついた筋力は非常に合理的な筋肉と私は信じて疑わない。練習のための練習、というのが日本人はとても好きだがそれは練習であって演奏ではないので、そこが問題だと思っている。

話が横道に逸れたが、つまりこのW.ホフマンのレスポンスの良さは200〜300万円台で手に入るなら逃す手はない、というお買い得を感じてしまったわけ。

そして弾けば弾いただけピアノと様々な会話ができるのはベヒシュタインと同じ。もちろんベヒシュタインが作ったのだから当たり前と言えば当たり前だけれど。

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日本人はメルセデスのマークを信じ、ヴィトンとコーチのバッグを愛する国民と言われる。本当に良さを知っているユーザーなら別にいいけれど、大半の人がそれ以外になると選ぶ自信がない、というのが実は本当だと思う。人が良いと言ったから、人気があるから…という買い物は愚かしいというのをそろそろ学んでも良いのではないかと思う。

「W.HOFFMAN=ホフマン? 聞いた事ないし、どっかで量産して日本に入れてるんじゃないの?海外のならやはりスタインウェイじゃないと…人にホフマンのピアノ買ったって言ってもねぇ…誰も知らないし…。娘はプロになるかどうかだってわからないんだし…だったらやはりYAMAHAが安心よね」と、いつまでそういう考えでいるのだろうか…。この場合の「安心」って何なのだろうか…。

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プロになるならないは関係なしで、良い音が生活にある事は豊かだと思う

W.ホフマン・トラディショナルは価格との釣り合いがとれた、と言うよりもむしろ価格を超えるクオリティを備えた素晴らしい楽器だと言える。誰も知らないだろうこのブランドを胸を張って「素晴らしくいい音だから良い楽器だから買ったの」というユーザが出てきたら日本も捨てた物じゃないと思う。

W.ホフマンを見かけたら是非試弾をオススメする。

弾くほどに驚きのあるピアノ。
シャイだけれど意外と良くおしゃべりする楽器。
良い意味でのニュートラルなグランドピアノと言える。

敢えてW.ホフマンの弱点を上げるならば…
バリバリに派手な音じゃない所? それと
低音のズッシ〜〜ンっという重量感が足りないところかな。
でもこれはスタインウェイの家庭用でも同じなので…。

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hoffmann_factory.jpg八王子センターの様子

最後に…。
レクチャーが行われたのは上の画像のようにステージでもないし会議室でもない、八王子センターは工具の並んだ工房である。
そして非常に冷えてくる中で私は手が冷えて指がかじかみ試弾の時には普段の作品がさらさら弾けなかった。工房というのはそういう所。
別にそれが何だという事はない。
しかしながら、ピアニストとしたらそこでピアノを聴衆の前で弾くのは非常に考える物があるだろうと推測できる。コンディションキープの難しさという意味で。そういう場所でニコニコと色々な作品を見事に弾いて下さった内藤晃氏は素晴らしい御仁だと思った。そして事実こちらはその演奏の素晴らしさに感動した。


500万円でスタインウェイの一番小さいグランドピアノの中古があったとしたら…私は迷わずにこのW.HOFFMANNの方を買う。そして残った資金で海外に演奏会をジャンジャン聞きに行って自分の耳に栄養を与えようと思う。スタインウェイの中古は実際500万円で買ったらそのあとのメンテナンスにさらに費用がかかる。それも耳が相当ないと大変であり、さらにタッグを組む素晴らしい調律師がいないと自分の理想の音に近づくのに時間がかかる。車で言うならジャグアーはセカンドカーにしなさい、たった一台の自動車として乗っているのは惨めだよ、というのと同じ事になる。そんな高額なメンテナンス費用に投資しているウチに時間が過ぎ、音楽を聴く余裕もなく…となるよりもその費用で本物を現地に聞きに行ったら良いと思う。

え?HOFFMANN買うのでめいっぱいでお釣りなんかない?
それはそれは…失礼いたしました(笑)

絶対買って後悔しないと感じたピアノ=W.HOFFMANN・トラディショナル♪

W.HOFFMANN の詳細
ユーロピアノOfficial Site
posted by カオリン at 17:12| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月23日

ヨーロッパ製ピアノ試弾レポート Playel P-190

Playel_P190.jpg Playel P-190

甘く繊細な外見からは驚くほどの多彩でバランスの良い響き。弾き手の要求にいかようにも応えられる名器。

ショパンが愛したことで有名なプレイエル社のピアノ。以前某所でプレイエルのアップライトを試弾したことがあり、その際になんとロマンティックな音を出すピアノだろう!と驚いたことがあったが、それ以来プレイエルのピアノはロマンティックな音色。と思い込んでいたようである。

このP−190は画像でお分かりのようにマホガニーで長さは190センチ。スタインウェイ等がもつ低音の金属的な音とは対照的に、このP−190はまろやかな音がするが、決してある種の感傷的な、ロマンティックなという極端な個性ではなくて、むしろショパンを弾くとショパンの音色になり、ベートーヴェンを弾けばベートーヴェンの硬派な音色にもなるという、非常にフレキシビリティ溢れるピアノだ。

試弾した自分だけがそう感じるのかと思ったら、昨年フランスからピアニストのイブ・アンリ氏が来日して、東京の紀尾井ホールにP−190持ち込み企画の演奏会が開催され、彼がP−190の艶出しで、ショパンとベートーヴェンを演奏した時に、その音色の違いに驚いたが、さらに同行した音楽仲間も同じ感想だった。繊細さと力強さを併せ持ち、さらにまろやかで透明な、こんな素晴らしい楽器は未だかつて出会ったことがない…

実は世間に知られていない素晴らしい名器なのね…と感激し、さらにプロなのに知識の足りない自分に恥ずかしくなった。

今までベーゼンドルファーの信者だったのだが、このプレイエルの P−190の試弾時から私は心変わりしてしまっている…それほど自分の好みの広さに応えてくれる見事なピアノである。

あれ以来、もしも引っ越しなどして今二つに分かれているスタジオを一つに統合できるなら…さらにその時に余裕があるのなら…という条件が付くのだが、今持っている国産のグランドピアノを手放して、プレイエルのグランドピアノが欲しい…と思うようになってしまった。価格がまた魅力的で600万円(2009年3月現在)

スタインウェイのグランドピアノは大きな場所で力を発揮するし、小さなサイズでも1.000万円近くと高額であるし、やはり音量的にも非常に鳴る!という設計なので、ピアノを楽しむというよりも、プロがステージで同じ楽器を弾く時には同じもので自宅でも慣れておきたい、という気持ちの方が強い気がする。友人のピアニストには帰国後、スタインウェイを欧米から持ち帰り、音大時代に購入した国産のグランド2台を並べてレッスンスタジオを構えている演奏家が多いが、スタジオ自体が半地下仕立てだったりして大体天井が普通の1.5倍ほどで、広さは20畳近く取っていたりする…
そう、やはりそれぐらいの広い場所で弾いてほしいと思うし、逆にそうでないと響きが乱反射して聴力を痛めてしまう恐れがある…

もちろん、優雅な生活をなさっている方で「グランドピアノを買うなら世界のスタンダード、スタインウェイをまずは自宅に入れたい」と思うのももちろん理解はできる。

自分はステージでは毎回スタインウェイを演奏しているので、別にそれが珍しくはなくなってきていて、憧れでもなく当たり前になってしまっている部分もある(イヤミではなくて)。まさにスタンダード、というところか。そしてスタインウェイのグランドピアノがどれほど音量の大きさにこだわって設計されているかも、知っているつもりである。やはりスタインウェイは力強いピアノである。

だからこそ、自宅ではミッションだけにこだわらずにピアニッシモや音色の多彩さにこだわってしまうのかもしれない。サロンで、家庭で楽しめる、となってくると自分にとっては圧倒的にベヒシュタイン、プレイエル、ザウターの魅力が光ってくる。若いころはピアノコンチェルト、のような経験もなくはなかったが、現在は私はソリストではないから大音量の訓練をする必要はもはやないのである。し、実は女性にしては音量が大きいのでいつも注意しているぐらいで、逆に大音量の出るピアノは自宅スタジオでは必要ないというのが実感。

さて、憧れのこの、プレイエル社のピアノは生産台数が少ない。実は、この試弾したマホガニーのP−190はもう売約済みというのを先日チラリと聞いた。

本当に弾いた方だけがわかるその確かさ、多彩さ、響きの素直さ。本当に自由自在!なのである。


いつの日か、自分が購入できる日が来ますように…と祈るような気持ちになってしまう(笑)←真剣である。

プレイエル?ブランドの名前も知らない、あるいはショパンが好きなピアノじゃぁ、ブラームスとか弾いても軽すぎて合わないんでしょう?などとお考えの方には是非一度、触って、弾いていただきたい名器である。

きっと一度弾いたら手を止めて…周りの人に「え?この楽器って…本当?…まじ?すごくなぁい?」と相槌を求めたくなる、そんな素晴らしい楽器なのである。(表現がやや現代っ子風になったけれど)
(2009年3月ユーロピアノ関西ショールームにて試弾)





(なお、ここに掲載している価格は各ショップにより、円相場の変動により常に一定していませんのでご参考までになさってください。詳しくは各ショップにお問い合わせ下さい。)
プレイエル・ストーリー


posted by カオリン at 20:36| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月20日

ヨーロッパ製アップライトピアノ試弾レポート SAUTER 122 Ragazza

122ragazza.jpg SAUTER 122 Ragazza

クリアで透明で繊細な音色とグランドピアノのタッチを彷彿とさせるR2アクション


南ドイツのピアノメーカー、ザウターのアップライトピアノを試弾。ザウターは音色が柔らかく繊細で透明なのが特徴。そしてピアノのデザインが非常にしゃれている。


この122 Ragazzaは190周年記念モデル。Ragazzaはイタリア語で恋人、女の子、を意味する。何ともチャーミングなネーミングを持つピアノである。

ザウターのアップライトピアノはR2アクションを備えているモデルがある。R2アクション。それはアップライトの欠点=鍵盤の連打がグランドピアノよりもしにくい…というのを克服している。この122 ragazzaはR2アクションを装備したモデル。


グランドピアノの打鍵は蹴上げられたハンマーが引力で落ちてくるという構造。ところがアップライトピアノの打鍵は弦の部分が縦に立っている構造なので手前からハンマーを叩くアクションとなり、その場合引力は働かないので跳ね返ったハンマーは戻らない。のでバネで人工的に弦の上に戻す事になり、その分若干同じ鍵盤の連打が不利、と言われている。

これが演奏上どんな曲で出てくるかというと、ラヴェル以降の作曲家の作品で同一鍵盤の連打が非常に多く出てくる場合にやや不利。という感じになる。(なのでショパンやリストなどでは全くと言って良いほど心配はないのだが…)

ザウターはこのアクションに関して非常に研究がなされており、アップライトピアノで弾いたときでもそのアクションがまるでグランドピアノを弾いたときのように軽やかに連打ができる、というR2アクションを開発している。

今回試弾した楽器はチェリーの艶だし。明るい黄味がかった木材の色が非常に美しく、四隅に美しい象嵌が施されている。チェリーの木材を使ったピアノは一様に音が軽くて明るい印象があるが、これもそうだった。そして音色は非常にクリア。音は薄めな感じ。グラマーなこっくりした濃い音色を好む方には合わないかもしれないが、何と言っても美しい材質と音色。だが、122の名前が示すとおり高さは122センチあるので低音の弦が長く、意外と低音も柔らかくしかししっかり響いてくる。R2アクションのせいなのか、鍵盤は全体に軽やかで弾きやすかった。価格は190万円(2009年9月現在)

ザウターというピアノはこちらに、音色だの響きの長さだの、とそういう機能のみを精査させる気持ちを和らげる不思議なオーラがあり、「そんな事をぴりぴりと検証するよりも、まずは音楽を楽しみましょうよ。」という気分にさせられてしまう主張を持っている。今まで試弾する度に何回もそういう経験をしている。音色から何からひっくるめて何というか「美しい」という形容が合ってしまう。そして音色のイメージは朝日が差し込んでくるようなそういうさわやかな感覚。多分英語で言うところの"Enjoy music"というのはこのピアノのイメージかと思う。価格からしたら非常にお買い得なピアノである。お好みに合えば素晴らしいピアノ。(2009年3月ユーロピアノ関西ショールームにて試弾)




(なお、ここに掲載している価格は各ショップにより、円相場の変動により常に一定していませんのでご参考までになさってください。詳しくは各ショップにお問い合わせ下さい。)
ユーロピアノショールーム情報


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2009年09月19日

ヨーロッパ製ピアノ試弾レポート Bechstein A-208

A208.jpg Brchstein A-208

調律で差が出るピアノ、設置の部屋とのバランス考慮が必要。

ドイツのピアノ、ベヒシュタインには技術の粋を集めたゴールドラインと、それより買いやすいアカデミーシリーズがあるが、今回試弾したのはアカデミーシリーズの最高峰A-208。

文字通り長さが208センチ。なので非常に低音部の弦が長くボリューム感がある。

先日はA-160を試弾したがこのピアノはA-160の上級モデルにあたる。ので弾いてみてA-160より価格分、大きさ分素晴らしいと言えるかというと、ここがピアノという楽器の面白いところで、このA-208はかなり個性が出てくる。低音が大きくその部分はベヒシュタインにしては響きに表情が少ない。弦の芯が鳴りきらない感じで音量が大きい…という印象があった。そういう部分は調律師に相談して響きを練っていけば相当変化は期待できると思う…

ただ、A-160を弾いた際の低音部の音の伸びとはA-208の低音の音の伸びは圧倒的に違うからその満足感はある。

ベヒシュタインの場合、大きくなればなるほどそのゴールドラインとアカデミーシリーズの差は歴然としてくる、というのは正直な感想。当然である。このA-208とほぼ同じ大きさのゴールドラインのモデルは価格が990万円=〜1.125万円あたりなので400万円前後の差があるわけだから。

こういう時に非常に買う側は迷う…というか現実的に支払える金額の限度が元からあるから迷うというよりもむしろ迷えないから悶々とすることになる。個人的な意見だけれど、こういう場合、610万円の資金が用意できるのなら、ベヒシュタインというブランドだけに固執せずに、ザウター、プレイエルなど、他社のピアノの同じ大きさを試弾してみる事である。それで答えが出る事も多い。(スタインウェイやベーゼンドルファーではこの価格帯では残念ながらusedしか探せないのでここでは触れないでおく)

それと、低音の弦が長ければ長いほどピアノは良いのか、というとそうは言い切れない。逆に過日に前述したが、部屋がそのピアノの求めてる大きさより小さかった場合はピアノは騒音でしかなくなる危険を秘めている。そういう事もよく吟味した上で選ぶ必要がある。

ザウターDelta185、 プレイエルP-190などは価格的にもA-208よりリーズナブルでさらにやや小ぶり。非常にバランスの良いピアノであるから、それらと一緒に試弾してみて、それでもA-208の響きが好きだったり弾きやすかったりするなら、それはあなたのThe Piano of your own であるわけ。

ピアノを選ぶ際にネームブランドや、噂だけで買いに行く事はない。人に有名ピアノを持っている事が自慢の対象になっているようではまだまだピアノオーナー初心者である、と私は言いたい。

ひたすら自分の耳を澄まして、自分の耳が惹き寄せられた楽器の中からブランド名に惑わされる事なく、The Piano of my ownを選んで戴けたら、と心から願う。(2009年3月ユーロピアノ関西ショールームにて試弾)



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2009年09月17日

ヨーロッパ製アップライトピアノ試弾レポート Bechstein Concert 8

C-8.jpg Bechstein Concert 8

Bechstein Concert 8 アップライトの枠を超えた芸術品のピアノ

ベヒシュタインのアップライトの中では最高級品にあたる、このコンサート8(エイト)はピアニストのフジコ・ヘミング氏がご自宅にお持ちになっている事でも有名になっている。

今までC-8は何台か試弾している。昨年はマホガニーのものを試弾し、今年の春にはこの上の画像の黒艶だしのものを試弾した。


マホガニーの方は私の指が比較的肉薄な為かその良さを引き出せず、やや指負けしてしまう感があり残念だったが、それはマホガニーの材質と自分の指や体格が合わなかっただけの事。この黒艶だしの方は、一瞬アタマがクラクラ〜!っとした程心をワシづかみにされてしまった感があった。それほど音が魅力的で、さらに鍵盤が吸い付くようで素晴らしい…

ベヒシュタインの素晴らしさはグランドピアノだから本物志向、アップライトだからアマチュア向き、とかいう日本のような感覚は全くなく、どちらもそれぞれ最高の響きを追求しているピアノ作りにある。

事実、私が昨年手に入れた楽器はこのシリーズのランク的には一つ下のArsNova124だった。そう、アップライトである。自宅の他にあるグランドピアノよりもずうっとこのベヒシュタインのアップライトの方が練習しがいがある。それほど意識に革命を起こさせるほど、ヨーロッパのアップライトピアノは素晴らしい、さらにベヒシュタインはそのアップライトにたくさんの種類を作っている事が良い。

このC-8の素晴らしさはやはり中低音の響きの豊かさと響きの長さにある。力強く、きらびやかで表情豊かなピアノで、まさに芸術品の域に達していると言っても過言ではないと思う。以前は470万円だったが一度値上がりし、そして最近定価450万円に下がっている。(2009年3月現在)

実はウィーンのベーゼンドルファーのアップライトが470万円の定価の頃があり、私は購入時に本当に迷ったものである…結局部屋の狭さもあり、指の感触…さまざまな点からArsNova124に落ち着いたが…

このC-8…ただただ素晴らしい楽器ではあるが、気をつけていただきたい事がある。
その一つは…
ほぼグランドピアノと遜色ない音、音量であるので、あまり狭い部屋では部屋中に音が響き、大変な事になる可能性がある。
サイズが幅154センチ、奥行き67センチ、高さが131.5センチある。この高さが弦の長さを表すわけで、これにピアノの鍵盤部を足したら、実はグランドピアノの長さが170センチ相当にもなるわけ。
当然の事だけれどこれだけの長さがあると本当に低音部分の弦は非常に重厚に鳴る。し、響きも伸びる。

さらにベヒシュタインのアップライトピアノは鍵盤の下の前面が幅広くカットされており、そこから前面に響きがこもらないよう、出てくるようになっているため、常に豊かな音が溢れて聞こえる。なので狭い部屋ではピアノの豊かな響きが生かせない事になる。

もう一つは…
楽器の材質、個体差に留意する事である。アップライトピアノは弾く人間が、ピアノの弦や響版に非常に近くなるので、そのわずかな差も非常に感じやすくなる。グランドピアノのように音が上下から回って聞こえてくるのではなく、ストレートに鳴った弦が目の前から響いてくるわけだから、そういう意味においてその個体差やムラ、などは良くチェックする事をお勧めする。他のピアノの時にも述べたように、木の材質、艶あり艶なし、などの影響を即時に反映しやすいのがアップライトピアノの特徴だから。納得ゆくまでどうか試弾をなさる事をおススメする。


このC-8を試弾した時はこの楽器に吸い込まれるような感覚になってしまい、ずうっと弾いていたい、と思ってこの楽器から去りがたかったのを思い出した。本当に素晴らしい楽器 Concert8 どこかで見かけたら一度、試弾して頂き、そのアップライトピアノの意識がひっくり返ってしまうその、驚きの感覚を体験して頂きたい…などと思ってしまう。(2009年3月ユーロピアノ関西ショールームにて試弾)


(なお、ここに掲載している価格は各ショップにより、円相場の変動により常に一定していませんのでご参考までになさってください。詳しくは各ショップにお問い合わせ下さい。)
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2009年09月16日

ヨーロッパ製ピアノ試弾レポート SAUTER 185 Delta

sauter185deltaM.jpg ザウター185デルタ

ベートーベンの時代を思わせる音の繊細さとデザインの美しさの融合。

ザウターは南ドイツ製のピアノ。1819年以来の歴史を持っているため190年ピアノを作っているという素晴らしい歴史を持ったピアノメーカーである。ザウターのピアノは指先にデリケートに響きが伝わるといった柔らかな音が特徴で、音が重い事はなく、典雅な気持ちにさせてくれる響きを持っている。そういう音質とは対照的にデザインは非常にモダンでもちろん美しい。ザウターのピアノは部屋に置くとグランドピアノであろうがアップライトであろうが部屋のランクを一つ二つ、上げてしまうというほどのおしゃれな存在感がある。

今回はザウター185デルタを試弾。
ショールームにはウォルナットモデルがあったのだがさすがにザウターのモデルだけあって非常にデザインが凝っており、全体は艶消しなのに艶のかかった譜面台と内蓋。開けてみるとわかるそのあたりが非常にニクイ演出を感じる。この隣に同じくザウターのTradition=トラディションが置いてあり、こちらは長さ160cm。繊細で明るくまろやかな音色が特徴。

デルタの方は文字通り長さが180センチを超えるのでバランス的には非常に良い。
柔らかな音色と暖かみのある響き。そして低音の弦が長いので重量感と低音の伸びが加わり、非常に美しいピアノ…という印象だった。価格は495万円(2009年3月現在)

ザウターの音色はスタインウェイともベヒシュタインとも全く違う、ザウター独特の音色である。あのまろやかさを深くして音色に重さを加えていくとオーストリア、ウィーンのベーゼンドルファーと系統がやや似ている、と言うと雰囲気が伝わるかもしれない。

聞いて欲しいピアノ、というのにプラスして見て欲しいピアノ、という言い方もザウターならできるかもしれない。本当に美しいピアノである。
(2009年3月ユーロピアノ関西ショールームにて試弾)

ザウターに関してご参考までに。

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2009年09月15日

ヨーロッパ製ピアノ試弾レポート Bechstein A-160

Bechstein A-160=最も広い層にフィットする軽やかなグランドピアノ。

先日ベヒシュタインにはゴールドラインとアカデミーシリーズがあると書いたが、今回はそのアカデミーシリーズのA-160の試弾レポート。
試弾した日にはたまたま黒艶出しタイプと、マホガニーがあったので両方のA-160を同時に試弾する機会に恵まれた。同じ機種でも木の素材でかなり弾き心地が違うという事が明らかになった興味深い試弾になった。

A-160は長さが160センチ、幅は151センチととてもコンパクト。
アカデミーシリーズなのでゴールドラインのような華やかさよりは鍵盤の軽やかさであるとか音の素直さ、というのが特徴に思う。ゴールドラインのような深みやゴージャスさは中低音には少なくなるが、高音のきらめきはとてもさわやかで弾きやすい。それぞれの特徴を下記に。

A_160noir.jpg
A-160黒艶出し
160センチの長さはコンパクトで非常に好ましく、家庭での演奏には非常にフィットする。鍵盤はとても軽やかで音が素直に出てくるのはベヒシュタインの魅力そのもの。160センチの長さというと小さく思うかもしれないが、ヨーロッパ製のピアノの響きは非常に芳醇で余韻がとても長いので、家庭に入れた場合は予想外に音が豊かで驚く。のでかなり広い家=例えば30畳のスタジオ=に置くなどでもこのサイズで足りない、と言う事はないと思える。価格は420万円(2009.8月現在)

A_160 Maho.jpg
A-160マホガニー
黒の艶出しより30万円ほど価格が上がるが…もし余裕があるのなら…私はこのマホガニーをおススメしたくなる…それは何故か…音色が非常にあでやかに主張するからである。一般に木の材質の堅さは音の発音時間の素早さに影響すると言われている。ウォルナットは材質が柔らかいので音の立ち上がりも暖かく柔らかな素朴な音が出る。マホガニーは材質が硬いので音も硬質な瞬時に華やかに音が立ち上がるというような魅力的な音になるわけである。そして艶なしよりラッカーの艶ありの方がさらに音がきらびやかになるのも、その音の反射時間がつや出しのラッカーの方が吸い込まずに跳ね返すからという理論になる。

で、実際に弾いてみるとマホガニーの方が表情が華やかで音色が表情豊かだった。同じ力で弾いてもニュアンスがキラリンっと広がる、そんなグランドピアノである。30万円の価格差を「たったこれだけの金額でこんなに音色が違うの?」と思うか、「音色の差があるのはわかるけれど30万円は高すぎる」と思うかは人それぞれの考え方の違いなので何とも言えないけれど、私だったら長いピアノの寿命を思うとき、最初から色彩感の多いピアノを選ぶ。色彩感の薄いピアノを調律で時間と費用をかけてじっくりと音を作る間に、色彩感をたくさん持ち合わせているピアノは何年間も多くそのオーナーを苦労なしに楽しませてくれるからである。しょっちゅう弾く人でもこれらの調整は1年、2年とかかるはず。その時間と費用を考えたらその30万円は私だったら「時間は買えない」という意味において、安いと感じてしまう。

そして…このA-160のマホガニーはやや紫の入ったローズ色でそれはそれは美しい色をしている。黒鍵には黒檀(紫檀かもしれない)が使われていて非常に指で捉えやすい。価格は450万円(2009.8月現在)

いずれにせよA-160のシリーズは弾く相手を選ばない、という間口の広さが魅力ではないだろうか。音色のくせのなさ、鍵盤の扱いやすさ、といった点では価格と共に子供から大人まで、アマチュアからプロまで最も広いレンジのファンを獲得できる楽器であると感じた。(2009.8月八王子センターにて試弾)


(なお、ここに掲載している価格は各ショップにより、円相場の変動により常に一定していませんのでご参考までになさってください。詳しくは各ショップにお問い合わせ下さい。)
ユーロピアノショールーム情報
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2009年09月14日

ヨーロッパ製ピアノの試弾レポート:Bechstein L-167

bechL167_01.jpg Bechstein L-167

リストやドビュッシーが愛したドイツのピアノ、ベヒシュタイン。
ベヒシュタインの特徴は何と言ってもその透明で明るい音色。
響きの立ち上がりも非常に早く、色彩感豊かな饒舌なピアノと言える。

そのベヒシュタインのグランドピアノには現在、ゴールドラインとアカデミーシリーズがある。
ゴールドラインはコンサート会場、及びプロの家庭用の練習にふさわしい楽器で、価格帯も700万円台からフルコンサートサイズで1.755万円(2009.2月現在)というゴージャスなもの。
アカデミーシリーズはもう少し身近にベヒシュタインの良さを追求しているモデルで価格帯は420万円から610万円までと、買いやすくなっている。

今回はそのゴールドラインの中で一番小さな楽器のL-167の試弾のルポ。

非常にバランスの良いピアノで長さは167センチしかないので、コンパクト。だけれどそのピアノのタッチは非常にゆるぎなくて、中音から高音域のきらめきはもちろんだけれど低音域の表情の豊かさには驚く。低音域ってつい、その音の大きさとかにごまかされてしまって響きの色彩感まで気がついていない事も多い。が、このベヒシュタインのL-167を弾くと、こんなに低弦が短いのにも関わらず、なんと多彩な響きを出すのだろう、と驚かされる。

調律にも依るけれど、ゴールドラインは作りが非常にしっかりしているのである程度ピアノを弾いている方に弾いていただきたい、というのが実感。というのは訓練していない指にはちょっと弾き疲れる可能性がある。つまり、それだけ多彩で力強い打鍵に対応できるだけ鍵盤の作りが奥深いのである。もしお子さんに…と思うなら購入後に鍵盤が重く感じないよう、調律ですべての鍵盤を調節していただく事をお勧めする。大人でアマチュアの方にも同じアドヴァイスがあてはまるかと…。
価格は765万円(2009.2現在)
スタインウェイで同じようなサイズS-155が定価819万円 M-170が定価882万円の事を思うと、音色の好みが合えば本当にお買い得で、プロフェッショナルな響きが手に入ると言える。

小さくてもプロフェッショナルなグランドピアノ…と言える。(2009.3 ユーロピアノ関西ショールームにて試弾)


(なお、ここに掲載している価格は各ショップにより、円相場の変動により常に一定していませんのでご参考までになさってください。詳しくは各ショップにお問い合わせ下さい。)
ユーロピアノショールーム情報



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2009年09月07日

遮音工事&音響設計が完成して…

reform02.jpg 格段に響きを増したBechstein ArsNova124

長かった2ヶ月。当初2週間で終わるはずの工事に予想外な事が色々と出てくるもので、結局6月末から8月のお盆明けまで完成、とは呼べなかったと言える。

今回の工事は遮音と音響設計専門の設計事務所アコースティック・エンジニアリングにお願いした。

遮音に関しては作曲家、三善晃氏のご自宅スタジオを始め、数々の物件を手がけている設計事務所だけれど、それでも何か不測の事態が起きたりはする。特に今回は日本に一台しかないヨーロッパ製アップライトピアノ、という事で音量も非常に大きかったし…マンション全体の動かしにくい状況など…それでも数々の問題を辛抱強く解決して下さる設計事務所で、アコースティック・エンジニアリングの方々にお願いして良かった…と工事が終わったときにつくづく感じた。設計士の方だけではなく現場の大工さんの手先の細やかさがこれまた素晴らしかったからである。その若い大工さんのしなやかで美しい仕事を毎日見られるのも幸せだった。その職人さんは設計事務所の自慢の職人さんでもあると…あとで聞いて納得した。素晴らしい連携プレイだったので…

真夏だったので工事中朝から晩まで狭い段ボールの中で生活をせざるを得なかった私もさすがに疲れた。しかしながら完成してみると本当に工事をして良かった…とつくづく思える仕事部屋となった。

reform01.jpg 二重防音サッシの中はグリーンギャラリーに

元から6畳しかない広さに遮音工事をするわけだからぐるりと上下左右狭くなるワケで、天井にも床にも小さなゴムが打ち付けられてそれが音の振動の伝えを止める、という構造。なので上下には部屋は浮いている感じになっている。壁は12センチ以上の厚みで重い壁材が何重にも打ち付けられている。
遮音には重さが一番だそう。その重みで音の振動が壁の奥を伝わるのを止めていくそう。床材は桜(バーチ)材。硬くて音の分散が良いとの事。スピーカーケーブルは壁に工事の時から埋め込み。部屋の中をケーブルがスパゲッティのように絡まって床にある…というのがないように、との設計士の方の配慮だった。

reform03.jpg 詳細なサイズ指定の作り付け書棚

自分にとって最も贅沢だったのは上の天井までの書棚。当初は予算を猛烈にオーバーしているのでこんなに細密できれいなものは必要ないかな、と思ったりしたものの、部屋が狭いためにやはり機能的に作らないと、物が散乱してしまう事が予想できたために決心を固めて、きちんと作っていただいた。楽譜専用の棚を作りなれている設計事務所なので、こちらの希望や本、楽譜、CDのサイズと持っている冊数の厚みを測ってお伝えした。完成してみると予想よりはるかに部屋が片付いて見える。

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この部屋で仕事ができるようになってからほぼ半月。
ピアノの音もスピーカーの音も驚くほど変わった!
ピアノは中低音域の音の芯がとてもしっかりしてクリアになったし、スピーカーは「こんなに良い音だったかしら?」と思えるほど生々しい音で響く。やはり音楽を職業にしているのだから、ステージやレコーディングスタジオでだけ音を追求するのではなく、日常の自分の部屋から、そういう環境であって良かったのだなぁ…と今になって思う…

普段の家具のテイストはどろ〜ん、と暗い色が好きで、ウォルナット系一辺倒だったのだけれど、この部屋だけ、床の色に合わせてすべてを明るく、白木系に変えた。机も椅子も、ピアノの上のファブリックパネルも皆北欧製に。

これから生み出される作品はこの部屋で作られる…
どんなになっていくかな…楽しみ。

アコースティック・エンジニアリングのサイト
作曲家三善晃氏のSTUDIOやインタビュー記事も読めます。

posted by カオリン at 15:05| 東京 ☀| Comment(10) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月25日

イヴにBechsteinを弾く幸せ♪

Bechi_shibuya church01
渋谷教会内のベヒシュタインと、教会内部のようす=センスの良さが光る生花と生のモミの木が素晴らしい


クリスマス・イヴに渋谷教会のキャンドルサービスで二期会重鎮のソプラノ、藤井多恵子さんが歌われるので伴奏でご一緒した。

渋谷教会は渋谷駅から徒歩5分ちょっと。おしゃれな渋谷を象徴するようなモダンで美しい教会。いつも感激するのはその生の大きな大きなモミの木、そのモミの木に生のリンゴが吊るしてあるという贅沢。そして生花の趣味が一流ホテル、いやそれ以上かもしれないほどセンスが違う。牧師さまの藤村先生のお話も今日はいつもに増してヒューマンで聞いていてとても心なごんだお話だった。

今日さらに嬉しい発見だったのは、この教会のグランドピアノがベヒシュタインだった事!!サイズはやや小ぶりで156とかそんなサイズかな、決して新しい楽器ではなく、大変調整されているピアノというわけではないのだけれど(ホールではないのだから当然)、ベヒシュタインの特徴のきらびやかさは健在で、渋谷教会は天井が非常に高いので低い弦の長さが短い割には響く響く、今日は気持ちよく演奏をする事ができたし藤井さんもとても喜んで下さっていた。

さらに驚いたのはベヒシュタインの日本総代理店にあたるユーロピアノの社長に直接お目にかかれた事…私のベヒシュタインはユーロピアノにあった一台を先にお付き合いのあったピアノパッサージュに仲介して頂いて購入したもの。ユーロピアノの社長戸塚亮一氏はとても素敵な御仁でずっとお話ししていたくなるようなジェントルマンだった。

お友達も聞きに来て下さったりで礼拝の後はわいわいと豊かな豊かな時間。

素敵なイヴだったなぁ…とつくづく。皆様のイヴはどんなでしたか〜?
posted by カオリン at 00:39| 東京 ☁| Comment(8) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月20日

ガッカリ&失意の日々〜防音の難しさ♪

choco_powderRoom ココが大好きなショコラ

我が家にドイツのベヒシュタインのアップライトがお嫁入りしてそろそろ5ヶ月目に入る。

最初きつかった音色も日に日にマイルドになってきていている。とはいえ、調律は大体二ヶ月に一度ぐらいは調整しないとデリケートに狂ってしまう。響きは本当に余韻が長く、さらにきらびやかさとデリケートさを併せ持っている。

ピアノ搬入前に、隣接する上下左右のお宅の壁には全て防音を施してある。天井上部だけは防音壁の設置してから様子をみよう、ということになっていた。で、つい数日前に、それぞれの4つのお宅に騒音事情をお聞きしてみたら…

3軒はピアノの音の鳴っている時間すら気づかない、とのことで、上の階の方も全く問題ないとおっしゃったので、天井の防音施工は新たには追加せずに大丈夫となった…が…お隣の1軒にだけは相当音量大きく聞こえている事がわかった…

がぁ〜〜〜ん! そんなぁ、じゃあ5ヶ月もの間、お隣に騒音を強いた事になる…私としたことが、とんでもない失態…もう、申し訳なさでその日から胃の奥がき〜〜んっと痛い…

早々に陳謝して、早速原因を究明中。考えられるとしたら…自宅側の壁から音が回ってお隣に行っているのでは?というの以外考えられない。
あとは天井に近い所のダクトが音を拾って増幅してお隣にまで響いているのか…ピアノの置いてある書斎に隣接した部屋は浴室。これは実は、かなり怪しい気がしてきている。浴室の裏の壁なんか、きっとぺこぺこに違いないし、相当音を増幅してしまうのではないか、という疑いはかなり色濃くなってきている。

とりあえず、自宅内の他の部屋に隣接した壁も施工することとして、早速前回の施工材料業者に連絡を取り、見取り図を作成して、それらの防音壁材料をプレカットしてお送り戴くこととして今、見積もり作成依頼中。今回はさらに、気にしていなかった、家の内部に漏れる音にも注目してそれをカットするよう、扉から廊下への音も漏れないように、とか、これもお隣に隣接していないのだけれど、作り付けの戸棚、の奥の壁全面に鉛シートを貼ることも検討中。

不安はまだあって、これだけやってももし…どこからか音が漏れてお隣にご迷惑をかけるような事があった場合は…自宅ではこの美しいベヒシュタインは普通の音量では全く弾けない事になる…せっかく出会えたベヒシュタイン…こんな美しい音色を自宅で出せるなんてなんて幸せなのかと思ったのもつかの間…

まだ結果もわからない内から私は悲しくて悲しくて、珍しく母に長電話してこぼした…母は私の激しい心の動きを一番同性としても理解してくれて、かつての音大の同窓としても共感してくれたりもする。今回は本当にこたえてるなぁ…神経が参ってしまって…母はまろやかで穏やか、私はシャープでスピーディな性格、こういう時は母のまろやかさに救われることが多い。母の口癖「あんまりつひとつの方向に突き詰めないようにね。頭の回転もほどほどに。」ほんと、ほんとにそう思う…

それでも、さらに目下のところ、一番悲しいのは、今新作の執筆に追われているのに、それを大きな音では絶対に弾いたりできないこと。お隣には当分音だしを控えます。と申し伝えたし。今まで通り3キロ近く離れたグランドピアノのある実家に行けばいいじゃない、とも思うものの、やはりその往復時間はすごくロスだと感じる…ベヒシュタインを買う前はずうっとそうしてたのに…それほど今の生活は私には満足のいくものになりつつあったし、そういうロスをなくした上で、スケジュールを組んでいる今の生活環境もあるので、急に変えるのがしんどい。

目下の仕事道具が、急に使えなくなっちゃった…という悲しさもあるのね。それにそれだけではなくて、所属する音楽団体のチラシ版下デザインの締め切りも今週末。そう、ここでは私はチラシデザイナーでもあるの。そして新たに絶版だった楽譜が4冊分、再版される運びとなり、それの版下の印刷ミスを治すのもあるし…あぁ、もう仕事がてんこ盛りなのに思い通りに時間が使えない、という焦りもある。

二日間は本当に胃が痛くて食欲もなくて…全く作曲できなくなってしまった…思いのほかメンタルな部分の弱さに自分でもあきれて、でもどーする事もできず…でも九州のその業者とやり取りしている内にまた少し元気になってきている。まずはやってみなくちゃ。今から悲観することないし。

きっと神様が、今の部屋の防音をもっと完璧にして完全に音を楽しめるようにそういう機会を与えてくださったのかもしれないし。それにお隣から苦情がくる前にこちらからご意見を聞けたのもすごくタイミング的には自然だったと思うし。(申し訳なさは変わらないけど)

だめだったらそれはその時考えようっと……いつだってどうしようもない事ってなかったもん。必ず解決してきたんだし。今は少しずつそう考えている。きっと、きっと事はうまく運ぶはず。今はそう考えよう。

作品の音チェック?弱音ペダルかけっぱなしてやってみてる。できることからやってみよう、という事で。

画像は1歳ちょっとのショコラ。何故かあの狭い部屋が好きで、あそこでお昼寝してる事は多い。暖かいのかな。
posted by カオリン at 13:08| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月15日

良いピアノ選びのために♪スタインウェイの中古S-155発見♪

steinway00 steinway01

毎日作曲できないまま唸りながら生活しているのはもう日常化してる…その中でも少しずつの進展はあるつもり…

さて、実は少し前に知り合いでヨーロッパ製グランドピアノを探している方がいて、その方のために時々中古ピアノを試弾する事に再び興味が湧いているこの頃、ちょっと仕事道具で不足分が出たものだから地下鉄に乗って出かけた帰り…なんと、見てはいけないものを発見してしまった…

スタインウェイのグランドピアノS-155とても長さのコンパクトなグランドピアノ。価格は600万円を切っているし、ましてや91年製!さらに人気のハンブルグ製。
早速つかつかと近寄り、係の方の了解を得て弾かせてもらった。
20年近く経っているがピカピカ、と思ったら弦が張り替えてある!お買い得品じゃあないのぉ…

スタインウェイはもちろん定価では2000万円近いものもあり、家庭用で大体1000万円、一番手頃なこのS-155でさえ、800万円を優に超える。

以前のオーナーはプロじゃないな、と弾いていてわかる。というのは中間から上の音域だけが弾きならされており、低音域はほとんど弦が鳴ってくれない。これは弾いていなかったから弦の芯がまだ鳴りきらないのだとわかった。

係りの方に聞くとご趣味で弾いていたオーナーだったそう。おぉぉ、こういうピアノはある部分は新品に近いので結構良い品に入る。

しかし…鍵盤にはかなり音のムラがあって、全部で3種類ぐらいばらつきがあった。低音部、中音部、そして高音部。
低音部は先ほど述べたように鳴らないのと同時に響きの通る鍵盤と通らない鍵盤があり、コントロールが難しい。ある所を弾くと急に音がくぐもって一瞬「いらっ!」と動物的になってしまう私。
中音部は最もわがままで、それぞれの鍵盤がそれぞれ響きの通りが違うので、和音を弾いた際は非常にコントロールが難しい…和音を弾いた際にメロディーだけを浮き上がらせて弾くのは至難のわざで、あちこちでこぼこしちゃうのである。
高音部は軽薄なほどチャラチャラしたところもあるが、全体にきらびやかな感じ=スタインウェイらしい、とも言える。まぁ、チャラチャラし過ぎるのならマイルドな響きには調律ですぐに治るからこの部分に関してはあまり問題なし。と判断した。

しかしこの中音部のこれほどのムラを取るのに要する期間と費用はどれぐらいかなぁ…と考えた。やはり2年ぐらい必要じゃあないかな。それと、ハンマーアクションと弦とのバランスを1音1音づつ調律の方にお願いして直していってもらうとして…最低プラス40万円ぐらい?かな。いやもっと?
でもこのムラを取るのはすごく大変。これは彼女にはお勧めできないかなぁ。やはり低音部が鳴らないのは弦が不自然に短い設計である事も否めない。

ううむ…と思いながら帰宅。
家に帰って自宅のアップライトのベヒシュタインを弾いてみて驚いた。この楽器「アルスノーヴァ」の方が低音の響きに豊かさと輝きがあったのである…それとムラもほとんど感じられなかった。
それほど、グランドピアノはグランドピアノで大きさと、弦の長さによっての響きのバランスの取り方は難しく、さらにヨーロッパ製の手作りピアノはその長所、短所が極端に大きく反映されるものだと体感した。
結局あのスタインウェイ買うならうちのアップライトのベヒシュタインの方がずうっと響きの安定度と低音部の音の豊かさで勝っている!というあり得ない現実を体感してしまったわけ。まぁ価格差とすると両者の差は170万円ぐらいかな。
それにしてもその事実には驚いた。だって何と云ったって世間ではスタインウェイ伝説=世界で一番のピアノ=というイメージが定着しているわけだから。

でもね、それはね、コンサートグランドのスタインウェイの事なのよね。家庭用ではなくて。

いつも弾いているコンサート会場のスタインウェイはそれこそコンサートグランドという完成されたサイズであり、弦の長さもハンマーアクションもゴールデンプロポーションのものだし、さらに当日調律し、さらに狂えば休憩時間まで調律師の方に待って頂き再調律をして、という環境だからそうやって出てきた音を素敵と思うのは良いとしても、「スタインウェイは素晴らしい、パーフェクト!」というのは家庭で弾くピアノには当てはまらない事も多いわけである。

ある意味、こういう時に国産のピアノの音ムラのなさ、ハンマーアクションの統一性には感激したりする。
でもベヒシュタインを弾いて生活している私にはもはやその他の響きを欲しいとは思わなくなるほどの満足感が日々あるので、アタリのピアノを購入できて本当によかった!と心から思った。

一般の人に「ベヒシュタインのアップライト買ったの」と言っても日本人の場合は、大体誰も驚かない。「へぇ?どこの楽器?」というのが普通の反応。価格を言うとみな、のけぞるほど驚く。で、「アップライトよね?」と念まで押される(笑)
それがもし、私が購入した価格に160〜70万円ほど上乗せして「スタインウェイのグランドピアノを練習用に自宅に買ったの」と言ったら、やはり日本人のほとんどが「すっご〜〜〜い!」と驚くに違いない。
ブランドというのはそういう気持ちよさはあるけど、でも結局ハンドバッグのように持ち歩くでなし、毎日練習するのは自分である。
人に優越感を感じるブランド名であっても響きに納得ができなかったらやはり誘惑に負けて買ってはいけないと思う。
そういう意味で、私は自分の楽器が日本では全然有名じゃあなくても全く気にならない。要は、こちらが訴えたときに返ってくる音!その音にインスピレーションをもらえさえすればよいわけだから。

友人に素敵なピアノ、大枚をはたいても後悔しないピアノを是非選んで差し上げたいものだと痛感して…。

ううむぅ…それとは別に本日も産みの苦しみに包まれて過ごすはず。
皆さま御機嫌よう〜〜〜(^^)/~

ご参考までに、スタインウェイの価格はこちら。
左側に価格の欄があるのでクリックしてご覧ください。
posted by カオリン at 11:33| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月05日

その後のマイBechstein

ArsNova_noon ArsNova124

お弟子のレッスンが終わって久しぶりに落ち着いてピアノを弾いた。

4月にお嫁入りしてきたマイPIANO ベヒシュタイン社のArsNova124。到着後から8月終わりになる間にもうすでに2度の調律をしている。

8月の軽井沢のコンサートの時の練習ではそれほど気づかなかったけれど今日改めてゆっくり弾いてみると、ピアノ全体の音がまろやかになってきている事に気づいた。「こんなにまろやかな音だったかしらん?」というほど、音色が変わってきている。えも言えないうれしさ。だんだん調律を重ねるに従い、自分好みの音色になっていくのがヨーロッパのピアノ。素晴らしい。でもそろそろまた調律が必要なほど、音程がゆるんできちゃった…
もうじき連絡しなくちゃ、調律師さんにお願いしないと…ね。

やはり私の宝物♪ベヒシュタイン ArsNova124
posted by カオリン at 03:22| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月13日

マンション生活での音について(騒音、雑音etc.)

B&W 仕事部屋のMYスピーカー

4月初めにピアノがお嫁入りしてきて一週間あまり。
それまでは突貫工事のように家中の不用品を処分し、粗大ゴミの引き取りを何度依頼した事か…その甲斐あってピアノの部屋はすごくすっきり満足のいく状態になった…が、結局たくさん処分をした家具の、その中身が処分しきれず、本やCD、バラの書類、衣類、雑貨…が、紙の手提げに入っては何個も仕事場=書斎の中にうず高く積み上げられる結果になってしまった…

で、ここ一週間はそれをリビングに一個ずつ持ってきては床にぶちまけて、整理したり処分したり…の日々。

これがねぇ、本当に時間がかかる…コツコツと続けてやっとあと5袋ぐらいに減って来た。昨日なんかは頑張っちゃって4袋分が空にできたかな、という感じ。で、そんなに張り切ると翌朝は腰痛、ひざ痛、背中痛に襲われている…

今回ピアノが入ることで騒音対策には心血を注いだ。防音ゴムマットのついたカーペット。これの施工で床は重量が45kg増している。重量が重ければ重いほど防音=遮音には効果がある。さらにピアノの下には防振のゴムマットを敷いて、木製のインシュレーターにピアノの足が収まっている。当初このインシュレーターごとゴム製にしようと思っていたが、ピアノ会社の方に止められた。ゴムのインシュレーターだと音質が変化してつぶれた感じになる、 のだそう。それは絶対にいやだぁ!!で、木製の美しいインシュレーターにした。

お隣との壁は2.5センチの厚みのグラスウール二枚の間に遮音シートを挟み込んだ5センチ厚の壁材を自分で施工した。

ピアノの後ろの窓は出窓だったのでそこから35センチ控えた内側に合わせガラスの厚み1センチ近い防音ガラスで内窓サッシを防音工事のプロにお願いした。これが一番効果的で、ピアノを弾いていても外の通路には何も聞こえない感じ。

これだけしても階下の方に尋ねると「静かにしているとわずかに聞こえる感じ」という感想を頂いた。なかなか防音は難しい。ピアノの背面は通路側だったので背面の壁に何も施工していない。ここの裏から下に漏れている可能性は大!思わぬ手抜かりだったなぁ…これは今月、来月の課題にしよう……

さて、書斎の方は実はスピーカーを床置きにしていたのだけれど、低音が非常に響くので今回を機会に、壁から吊るす事にしてみた。場所はベランダ方面の壁の上部。これなら音は外のベランダに向かっていくわけでお隣を直撃せずに済む。宙づりだから下にも振動は伝わらない。上の階の方はどうかなぁ…でもワンちゃん二匹で吠え続けているお宅だから気付かないかも…

マンションの壁ってほとんどそうなんだけれど石膏ボードなのよねぇ…これって1センチの深さあたりで釘が先に突き抜けて空洞になっているのを感じる。これが面倒で、今回はDIYに出かけてはそれらの施工のための工具と接着剤などを仕入れて我が家はちょっとしたセミプロみたいになってきている。

さて、それで壁は下地の一枚板を打ちつけ、左右からの木の部分を探してそこから補強金具で支え、そこにスピーカーを吊り下げた。このスピーカー、一個でも6キロ以上あるすごい重いものなのね…12キロ超える重量をこの手作り下地の板で支えられるかどうか…

今のところ崩れたりせずに保ってる…で、音はというと、上から音が降って来る、というだけで購入した当初よりも響きがすごく良く感じられるし、中間に浮いているので音量を絞る必要がないために、このスピーカー本来のボリューム感がいかんなく発揮できているようで、すごく楽しい。

ある方からだいぶ以前からカセットを預かっており「是非感想を…」というご依頼を頂いていたけれど、やっとこれで良い状態の音と音量で作品を聴く事が出来、早速お手紙を送ることができた。

やはりまず仕事場が整ってないとなぁ…何にもできないから…面倒でも早くこの「音を出す部屋」と「音を作る部屋」の二つを完成させてしまわねば!!!

上の画像がその宙づりにしたMYスピーカー[B&W600シリーズ DM600S3]
この部屋は入る前に和室を選んで内装を変えてもらったのだけれど結局書斎になったので床はカーペット敷き。なんだか日本びいきの外国人の部屋みたいなバランス感。で、スピーカーの下が障子、というのはなかなか風情があって気に入っている。けど、今回はスピーカーケーブルの長さがギリギリで、脇に寄せてディスプレイできず、中途半端なケーブルが障子を横切って垂れ下っているのがなぁ…いやだなぁ…いずれこれもロングサイズに取り換えねば…

ラベル:騒音トラブル
posted by カオリン at 10:51| 東京 🌁| Comment(5) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月07日

べヒシュタインのピアノ♪お嫁入り♪

ArsNova_noon 我が家にやってきたArsNova124

先週末、待ちに待ったべヒシュタインのアップライトピアノがやって来た!グランドピアノと違って足を外すわけにもいかず、意外とアップライトって搬入が大変なのだと学んだ。

ピアノの会社の方が運搬会社の方々にこのピアノの価格と、日本に一台しかない、という事を伝えてあったそうで、物々しいほどの丁寧さと細やかさでピアノは搬入された。私が身につけていたアクセサリーすら「搬入、設置が終わるまでは傷とか、困るので気をつけて下さい!」と言われてしまった…
こぉ〜んなに大切に扱われるピアノを見るのは初めてかも。でも大切に扱って頂けて嬉しくもあった。

そのあと調律が入り、早速弾いてみた。中音から上は素晴らしい!!中音から下は何種類か、自分が好きになれない響きの鍵盤があった。というか、まだ生な、生まれたての不器用な鳴りの鍵盤がある、という感じ。今日が初めてのお嫁入りで、今日どうこうする!という感じもなく、ここに搬入されて一か月の間で相当音も変わることも予想できたので、少し直していただいてその日はそれで完了という事に。

国産のピアノは本当に調律後はムラがないのだ!という事に今更ながら気づいた。日本製のピアノって良くも悪くもムラがない…わけね。ある意味すごい事だと、再確認。

でも、い〜のい〜の…私はこのべヒシュタインの個性に惚れ込んだわけだから。

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調律師さんと話し込んで後、一人になってからまた弾いてみる…
なんて残響が長いピアノなのだろう…
響いてからずうっと尾を引くようなそんな豊かな響き。透明感、清潔感、そして輝きのある音色。
リストが愛し、ドビュッシーがこのべヒシュタインのピアノの為にピアノ曲を作曲し続けたとも言われる、そのべヒシュタインのピアノ。そういう歴史を経て作りだされてきた楽器に対するマイスター精神がとても感じられる。なんて饒舌な楽器…

ショパンのエチュードを片っ端から弾き、リストも弾いて、ラヴェルも弾いて…うぅ〜〜むぅ…溶けそうな音色とシャリ感のある音の粒立ち。

それにしても音量が半端じゃない!実家アトリエのグランドピアノよりも響く、響く…このボリューム感にも大満足。

見事な手作りをここかしこに感じてしまう、そんな贅沢な楽器。やはりこの楽器に決めて良かったなぁ…と思う。

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ヨーロッパ製のピアノはとにかく乾燥に弱いそう。
ひどいまま放っておくと中の木が割れる…割れてしまうともう手に負えないって…あたりまえだけど…恐ろしい事になるらしい。ので加湿器がとっても大切。

元より、この部屋は加湿器を使っていたのでその点は心配なし。
とにかく常に一定の湿度を保てばよいわけよね。よしよし…

ここしばらく感じたことのないような言いようのない幸せに包まれ、恍惚とした時間をこのピアノと共に過ごしてしまった…そんな週末。
新たな出会いと出発に感謝。

すごくインスピレーションがやって来る予感がする…♪

ラベル:Bechishtein ArsNova
posted by カオリン at 23:13| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月21日

ヨーロッパ製のアップライトピアノが欲しい♪試弾其の四

ArsNova 運命の出会いArsNova124

ベーゼンドルファーのアップライトに魅せられてから色々と試弾生活を続け、ターゲットはベヒシュタインに絞り込んできていよいよ…というところでなかなか気に入った楽器が見つからない事態に…

フジコ・ヘミングさんがお持ちで有名なC8を弾いてもピンと来ないまま、どうしようか…と考えていると…そのC8の隣に黒いけれどしゃれた金色使いのピアノがあった。「これが今回1台だけ入ってきたアルスノーヴァです」とのこと。

良い楽器らしい。ベヒシュタインがミレニアムの夜明けと共に…とデザインを立ち上げた”Pro Bechshtein”のシリーズの3種の内の最高位機種にあたる。当初、自分の狭い部屋に入れる楽器に黒い色は余りにも重苦しく、絶対にウォルナットかチェリー色にしようと考えていので黒いピアノは眼中になかった。でも「今現在で日本には一台しかないでしょう」…という言葉に誘われ、するりとピアノの前に座って弾いてみた。まぁ、今日の試弾はこれで終わり…別に日本に一台しかないから私にすごくフィットするピアノ、というワケでもないでしょうし、あとは頭を冷やして考え直さなければ…などと考えながらつらつらと弾き始めた瞬間!!!

あぁ、この楽器だ!と手が、指が感じてしまった…思わず「困りましたねぇ…これ…良いピアノです…」お店の方も調律師の方も笑った…「参ったなぁ…一番考えていなかった黒い楽器が当たりの楽器だったとはねぇ…」でも指は止まらない。バッハ、モーツァルト、ベートーベン、ショパン、どんどん弾いてみる。

やはり予想通り、指との相性が抜群。弾いている内にどんどん馴染んでくる。それと中音から下が他のベヒシュタインよりも深みがあり厚みのある音に感じる。ドビュッシーやリストが愛したピアノ、という事だからもちろんその作曲家の曲も弾いてみた。まさにそうでしょうねぇ…という音色。で、ジャズスタイルも素直に反応してきてクセがない。

そう、黒鍵が紫檀であろう…。ステージで弾いてる時と同じような感覚に陥るのはこの黒鍵かもしれない。指に馴染む、吸い付く。

弾いた途端に私の気持ちは決まっていたかな。でも更に弾いてみて、納得している自分を認めたかった。価格は大幅に予算をオーバー。でも出会いとは不思議なもので、「買えない」とは思わなかった。「買うべきでしょうねぇ、これ」と思ってしまったのである。

ユーロピアノの方にこのピアノを押さえていただくことを伝え、今後は紹介してくださった、江戸川橋のピアノ・パッサージュとの商談に入る事となった。

画像がそのベヒシュタイン社の「プロ・ベヒシュタイン」ラインの中のアルスノーヴァ。ラテン語で「新しい芸術」♪コンテンポラリーの作曲家が持つ楽器としても何やら、因縁を感じてしまう。アルスノーヴァには金仕様と銀仕様がある。これはカタログ画像でシルバー仕様。今回日本に入ってきたのはゴールド仕様の方。実は我が家は家具の金属はすべて金色で統一している…全く…出逢うべくして出逢った楽器…としか思えない。

やっとやっと…やっと愛すべき楽器が見つかった…といったところ。全神経を集中した数週間…疲れた、というのが本当かな。でもそれはそれはエキサイティングな日々でもあったわけで…幸せ…
ラベル:BECHSTEIN ArsNova
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2008年03月19日

ヨーロッパ製のアップライトピアノが欲しい♪試弾其の三

a190 Bechstein A190

今度は場所を移して千歳烏山にあるユーロピアノへ試弾に。

音大の同窓の友人がこちらでザウターのグランドピアノを購入していて、以前からここを見たら?と教えてもらっていた。で、電話で色々とお話は伺っていた。しかし、先日訪れた江戸川橋のピアノパッサージュのお店の方からメールが入っていて、「出物が数点あるから是非ユーロピアノにいらしては?」という耳寄り情報が同時に入り、翌日にはユーロピアノに出かけた。

今回はもう完全にベヒシュタインに候補を絞った。
欲しいのは自分の思い通りになるアップライトピアノ。で、できれば色はウォルナットかチェリー色。つや消しでもいいかな。で、できれば200万円台…大体の心づもりはそんな感じ。

実は一番最初に山野楽器で弾かせていただいたウィーンの楽器、ベーゼンドルファーのアップライトの音色が忘れられず、毎晩夢に出るほど。それで我慢ならず、もう一度試弾に出かけたりしてしまって…それでもねぇ…値段が私の生活に釣り合わない…それでもあの指に吸い付いてくるような鍵盤と、弾けば弾くほど馴染んで音がどんどんと自分好みに変わってくるあの感覚…あぁ……ため息が出ちゃうなぁ…

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それはとにかくとして、その日はベヒシュタインのバランス116、コントゥアー118、クラシック118、と弾いてみた。今日は調律師さんがつきっきりでありがたい。

あら?あららら?何か音が違っちゃってる…先日とは違う直接的に激しく自分に返ってくる音…明るすぎる…音色が。鍵盤の深さも私にはフィットしていないし…焦った…
不思議とイライラしてくるとピアノの音も汚く濁ってくるもの…原因は壁。コンクリート打ちっ放しだからすごい勢いで音が帰って来ちゃう…のだとしばらく弾いていてわかった。それと、やはりマホガニーのものが私は苦手だったみたい。それにしてもヨーロッパのピアノの音色の個体差の激しさ。非常に手作りを感じた。これがまた魅力なのよねぇ…

それにしてもこれじゃぁ、選べないなぁ…どうしよう…
ワンフロア上に、ベヒシュタインのアップライトの最高峰のピアノがあるとの事でフロアを移った。

ベヒシュタインC8。そう、フジコ・ヘミングさんがお持ちの楽器で有名。美しいマホガニー仕上げ…私はあのマホガニー仕上げを弾くと音がきつくなる…なので用心して弾いてみた。うううむぅ…音が私の好みではない…のと鍵盤の深さが私には浅すぎる。調律師の方にそれを訴えると、「確かに浅いと思います」とのこと。でも深さは調律でいかようにも変えられる。それは知っていてもやはりその場でその感覚がわからないと、納得できない。

ましてこのベヒシュタインC8。価格があのベーゼンドルファーのアップライトと同額なの。だったら、絶対ベーゼンドルファーを買いたい…ローンになったら500万円は軽く超えるピアノを私は購入できるのだろうか…迷うなぁ…どうしたらよいものか…ココまで来たら妥協したくないものねぇ…でも現実を考えねば…しばらく頭を冷やさないと…

試弾はまだまだ続く…

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♪本日学習した事=ベヒシュタインのペダルについて♪
ベヒシュタインのペダルはとても深い。スタインウェイをステージで弾き慣れている自分にはかなり違和感があったけれど、慣れてくると…このペダル、すごく表情豊かなのだ。とくにハーフで踏み換えていく時に抜群の威力を発揮し始める。
音が決して濁らず、まるで透明水彩の絵の具を重ねるかのようにふわりふわりと2階建て、3階建てのように立体的に和音や音を重ねることができる。こういうのは音楽史で言うところの近代から現代に至るピアノ曲の表現には非常に適している。
逆に作曲家の立場から考えても表現したい幅がたくさん広がるワケだからそれはそれは楽しい音探し、音作りができると思う。


画像は同じフロアにあったベヒシュタインのグランドピアノA190。家庭的な大きさ。弾くととても扱いやすく、軽やかで華やかな音がした。
posted by カオリン at 22:42| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月16日

ヨーロッパ製アップライトピアノが欲しい♪試弾其の二

pleyel.jpg ショパンの愛したプレイエル

試弾二回目。江戸川橋のピアノパッサージュに出かけた。
何しろたくさんのヨーロッパ製ピアノが置いてある。もちろんグランドピアノもスタインウェイとベーゼンドルファーがあり、どれでも弾かせて頂けた。

♪ベヒシュタイン♪
たくさんの種類があり、新品、アンティーク、中古、といろいろ弾いた。ベヒシュタインはリストやドビュッシーが愛した楽器。華やかで良く鳴り、軽やかなタッチ。ウォルナット色のClassic118というのが比較的手に馴染んだように思えた。本日の第一候補かも…良く検討しよう…(希望小売価格160〜470万円)

♪ペトロフ♪
チェコの楽器。デリケートな音の粒立ち。すごくヒューマンなイメージの音色。クラシカルな楽器自体のスタイルも魅力的。あまり強靱な音ではない感じ。(120〜160万円)

♪ザウター♪
ドイツの楽器。明るい音色。鍵盤のタッチは非常にしっくり来るけれど音はもう少ししっとりした方が好みに思えた。すごく良く鳴るのでこちらとしては労せず弾ける、と言う感覚もあるんだけれど、華やかな音色からしっとりの音色に移る間の種類が少ないような気がしないでもない。こういうのは調律でまた調整を続けると変わるとは思うけれど…
ザウターが他のアップライトと絶対的に違うのは、ハンマーアクション!R2と呼ばれるのだけれど独特のアクションでグランドピアノと同じように連打が軽くできる構造となっている。これがかなり人気。(160〜268万円)

♪プレイエル♪
フランスのピアノ。ショパンが愛した楽器で有名。中間から上の音域はまさにショパンの3度と6度がピタリと来るし、あのシャランシャランの感じはショパンだわぁ〜っと感激して同時に驚いた。ただこれでベートーベン弾く感じではないかなぁ。しなやかでやや薄めの響き。重厚感は少なめ。むしろ透明感が特徴。(155〜250万円)

###今回学習したのは木の種類と塗装の種類について###

ウォルナットは木自体が柔らかいので出てくる音も柔らかい。逆にマホガニーはとても密度の詰まった堅い木。従って出てくる音は硬質で華やかになる。それとツヤ出し仕上げになるとその塗料が音を強く跳ね返すのでやはり硬質で瞬時に華やかに鳴るピアノになる。なのでマホガニーのツヤ仕上げ、というと相当華やかで明るく強い音色が出てくる事になる。

個人的にはマホガニーの艶仕上げは好みの音が鳴りにくい、と理解。自分の指は肉薄なのに打鍵力が強いので気をつけないと音がきつくなる傾向があり、音が鋭く鳴り過ぎる楽器はNGだ思っている。
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試弾は本当に疲れる作業。音場とタッチの感じ、ペダルと響きの感じ、鍵盤の反応の感じ、鍵盤の浅さや深さ。低音から高音へのバランス感 etc....こういった複雑に絡み合った情報を弾いている内に感じ取り、嗅ぎ取らねばならない。

よく香水を選ぶ際には一度に三つまで。それ以上は嗅覚が麻痺しちゃうから…とか言われるがそれととても似ている。

帰宅するとぐったり…習い続けている英語の宿題を…する気になれず頭の芯が疲れて早くベッドに入ってしまった。

画像はプレイエル。美しい色が印象的。

ピアノパッサージュ
posted by カオリン at 23:55| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月09日

ヨーロッパ製アップライトピアノが欲しい♪試弾其の一

bosen

ずっと続いた音大受験生のレッスンもひと段落し、ここ一か月に及ぶ大型家具数個の処分、それに伴う大掃除、防音マットの設置、防音カーペットの設置、二重サッシの内窓の見積もりなど作業は順々と進む中、先日はじめての試弾に出かけた。

山野楽器銀座店6階。
ここには常時ヨーロッパ製のピアノが数台あり、試弾させてもらえる。
まずはスタインウェイ☆
私がいつも仕事先で弾いているスタインウェイのアップライトよりももっと豪華な仕上がりのピアノだったけれど弾いてみると音にムラがあり、なかなか扱いにくかった。
という事はあの高輪のサロンのあのスタインウェイは大当たりのピアノだったのだなぁ…と再確認。それにしてもスタインウェイのアップライトは中低音域がよく響く。価格は500万円を超えていたかな。

そしてベーゼンドルファー☆
価格が500万円に近いので最初から自分が買うべき楽器ではない、と思っていたのと、以前ステージでベーゼンドルファーを弾いたことがあったがそれほど魅力的と思わなかった事、などであまり期待なく椅子に座った。
弾き出してみると驚いた…なんていうピアノ…
まさに自分の意のままになるピアノ。であった。ベートーヴェンの後期の作品などにあっていそう、と思ったけれど、モーツァルトやハイドンなどのドライな音での演奏も素晴らしく表現でき、ショパンのような甘い音はドンピシャのバランスで出てくる。さらにガーシュインなどのジャズの作品も品の良いノリで聞こえて遜色なし。
面白いもので音色が明るくも暗くも軽くも重くも、弾き方次第。という楽器。ずうっと弾いていたくなる、素晴らしい楽器。

売り場の方がグランドも弾いて下さいとおっしゃってベーゼンのグランドピアノも弾いてみた。こちらは家庭用の大きさ。
どっしりと、しっとりとした音色。そして中音域から上はまろやかに軽い。やはり1つの鍵盤が上がってくる間にたくさんの音色を含んでいて、それをできれば表現し分けたい、と弾き手に思わせる素晴らしいグランドピアノだった。こちらは1000万円弱。

山野楽器の売り場の方のお人柄の素敵なこともありで、私は売り場を離れたくなくなって来てしまうほど、それぞれのピアノの音色の豊かさにほれぼれとしてしまった時間だった。

もちろん価格を考えると現実に引き戻されるのだけれど帰り道、反省のし通し。
若いころからカーマニアだったので、最近まで車はずうっと欧州車で、VWシロッコ、VWジェッタ、半年で同じくVWジェッタ本革シート仕様車に乗り換え、その後にフランス車に変えてルノーに乗ってきた。当時はテレビや録音の仕事が多く、帰りが深夜や明け方になるので柏に住んでいた私には車は絶対だった。その頃の夢は最終はイタリアのランチアに乗る、という事だったが、東京に住居が戻ってきてここ、入谷は地下鉄出口わきに自宅マンションがあるために全く乗らなくなり、ちょうどそのころ父の自宅の駐車場が狭くなる、という事情もあったので私のルノーは父の日産のばかでかいワゴン車と取り替えてあげた。そのワゴン車も今ではある駐車場に預け通し。

今は全く運転せず、もっぱら同居人の車でのお迎えに頼る日々と変化してしまったが…そう、銀座からの帰り道、確かに車に凝っていた時期も楽しかったけれど、それだけ贅沢したら500万円のアップライトなんか苦もなく手に入ったのに…という反省をしていた。私ったら音楽のプロなのに何してたのかなぁ…という、そういう反省。もちろんその当時は普通のグランドピアノがあったからそういう事に気が回らなかった、というのもありだけれど、それでも今回のこのヨーロッパ製のアップライトピアノの音色の深さは一言では言い表せない、豊穣なる響き。なわけで…

外で車乗り回して高速道路でBMWのALPINAなんかと競って追いかけっこしていた自分が本当に哀れに思えてきた。

本職の音楽にしても、生活に必要な英語にしても…私って気付くのが大体10年遅いんだわねぇ…つくづく。溜息ついてばかりもいられないので今の想いの丈をやはり実現すべく、行動あるのみ。かな。

ここ、山野楽器にはべヒシュタインがちょうど売れてしまった直後で置いてなかったので、今度は違うお店に試弾に行ってべヒシュタインを弾いてみよう、と思う週末。

今後の試弾レポートを是非お楽しみに。画像はベーゼンドルファーのアップライト。蓋を開けた正面右にあの、美しい金文字のBosendorferの文字がまぶしい。

山野楽器本店6階ピアノフロア
posted by カオリン at 12:33| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ製ピアノあれこれ&防音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする